日本工業経済新聞社(茨城)
2016/05/26
【茨城】大災害の備え 検討開始/特別委員会が初会合/12月めどに報告書
大規模災害発生時の被害を最小限に食い止め、県民の安全・安心を確保するため県議会に設置された「大規模災害対策調査特別委員会」の初会合が25日開かれた。委員長に細谷典幸議員、副委員長には神達岳志議員が就任。今後、12月までに6回の会合を開き、災害対策の法制や計画、本県の防災・危機管理体制、県の災害対策を調査し、災害予防対策や災害応急対策のあり方について報告書を取りまとめる。
本県では近年、東日本大震災や竜巻、関東・東北豪雨など「想定外」と言われる大規模災害により人的、物的両面で甚大な被害が発生している。また、LNG基地や大規模コンビナートの集積など、企業立地や企業活動が進展を見せる中、自然災害に伴う火災事故などが発生した場合、被害は従前にも増して甚大になる懸念もある。
このため、大規模災害から県民の生命と財産を守るための対策の強化は急務となっており、今般、県議会において特別委員会を設置する運びとなった。
細谷委員長は「誠に時機を得たもの。より良い方向性が示せるよう、皆さまの知恵をお借りしながら調査・検討を進めていきたい」と決意を示し、神達副委員長は「委員長を補佐し、円滑な委員会の運営に努めていく」と述べた。
委員会で審議対象とする災害は自然災害と人為的災害。ただしテロや原子力に関する事案については国レベルで扱うべきものとし、原則除外する。調査項目は◇主な災害(防災)対策法制・計画◇本県の防災(危機管理)体制◇近年の大規模災害の概要◇県の主な災害(防災)対策等◇県災害対策のあり方−。
議事では、東京大学大学院教授で、内閣府中央防災会議専門委員も務める田中淳氏を参考人として招聘。田中氏は関東・東北豪雨の際の被災者対応や課題などについて話すとともに、「規模にもよるが、常総の水害でも分かるとおり被害は1市町村にとどまらない。防災の取り組みは広域化に向かっている」と強調。「被災県として、日本の防災対策を変えるような新たなスキームをつくってほしい」と期待した。
その後、生活環境部が現在の主な災害(防災)対策法制・計画や本県の防災(危機管理)体制について説明した。
次回会合は定例会会期中の6月17日に予定している。
委員会メンバーは次のとおり。
◆細谷典幸◆神達岳志◆葉梨衛◆西條昌良◆飯塚秋男
◆常井洋治◆本澤徹◆先ア光◆島田幸三◆鈴木将
◆磯崎達也(以上、自民)◆飯田智男(自民県政)◆佐藤光雄(民進)◆井手義弘(公明)◆山中たい子(共産)