日本工業経済新聞社(山梨)
2016/05/26
【山梨】リニア生かしたまちづくり講演会
リニア中央新幹線の開業を契機とした山梨県の地域づくりを考える講演会が、このほど開かれたリニア建設促進県期成同盟会の総会後に開かれた。講演した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの加藤義人氏は、地域づくりの視点として@甲府市郊外に整備されるリニア駅と中央道ICが直結する利点を活かした商業・集客施設が駅周辺に立地する条件が整うA都心直結となるので定住や企業立地が可能―と私見を紹介。
産業立地については、製造業の研究開発や企画設計部門が立地する際に高速道路ICと新幹線駅の両方を重視して選択していることが過去の調査で明らかになっており、リニア山梨県駅はその条件を備えているため、立地可能性が高いのではと指摘した。
また、超高速のリニアで東京、名古屋、大阪の3大都市圏が結ばれ、羽田空港や中部国際空港セントレアからのアクセスも大幅に向上するため、研修や合宿などの立地も可能と指摘した。さらに、リニアと富士山をリンクさせた観光の組み立てが考えられるとした。
加藤氏によると、現在、品川から鉄道か道路を使って2時間で到達できるエリアは首都圏や名古屋などで、その中に含まれる人口は約4100万人。国内における2時間到達エリア人口としては国内最大である。
しかし、リニアの品川〜名古屋間が開通すると、名古屋起点の2時間到達エリアの人口は約5900万人となり、品川起点を大きく上回る。
国内の2時間圏マーケットで最大は現在は東京だが、リニアによって名古屋に移ることになり、日本の国土構造やマーケット構造を大きく変える可能性があると指摘した。さらに、日本全体の大きな課題となっている東京一極集中の是正、近郊ある国土づくりにも寄与するのではと指摘した。
さらに、これまでは東海道ベルト地帯にさまざまな機能が集積してきたが、リニアによる時間短縮が圧倒的であるため、開業後は沿線エリアにこれからは機能が集まってくるのではと予想。その中には山梨県も含まれており、それらを踏まえた地域づくりが重要になると強調した。