北海道建設新聞社
2016/05/24
【群馬】3年計画で緊急豪雨対策を実施
県河川課は本年度から3年計画で、緊急豪雨対策を重点的に実施する。昨年9月の関東・東北豪雨を踏まえ、ハード・ソフト両面から対策を講じ、洪水被害リスクを軽減させる。ハード対策では9工区、10・1qにわたって市街地の堤防を強化する。ソフト面では、老朽化が目立つ水位雨量情報システムを改修、洪水監視体制を強める。
ハード対策では、堤防強化のほか、護岸など既設工作物の緊急補修、浸水被害箇所の緊急対策を進める。堤防決壊による壊滅的な被害を最小化し、治水安全度を確保する。
堤防強化は、堤高3m以上で人口が密集し、破堤した場合に甚大な被害が想定される市街地を対象に実施する。桃ノ木川や韮川、谷田川、石田川など9工区、10・1qを対象に、現場条件に合って低コストな工法を採用し、浸透対策を講じる。現段階では、本年度に2・0q、2017年度に3・5q、18年度に4・6qを実施する計画だ。
護岸や根固め工といった既設工作物の緊急補修は、16年度に35カ所、17年度に32カ所を対象に進める。関東・東北豪雨を受けて堤防区間を点検した結果、破損が確認された工作物が対象。補修する工作物は全県下に散らばっているという。
浸水被害箇所の緊急対策は、国の交付金事業で改修中の河川に対し、本年度から県の単独費も上乗せして事業を加速し、効果を早期に発現させる。利根川では築堤や掘削に向けて用地測量や用地買収、井野川では調節池整備の測量設計などを実施する。
ソフト対策では、洪水浸水想定区域図の作成や洪水監視体制の強化により、被災時でも適切な住民避難ができるようにする。
洪水浸水想定区域図は09年度に作成しているが、水防法改正にあわせて、想定し得る最大規模の降雨にも対応できるようにする。県の洪水予報河川である石田川や水位周知河川の利根川など全19河川が対象。昨年度に3河川の業務を発注しており、本年度も6月までに残る16河川の委託業者を選定する。
見直しにより@洪水時に家屋倒壊の危険性のある区域A浸水が継続する期間B決壊から氾濫流が到達する時間C洪水時に危機管理業務を行う庁舎の浸水想定情報−を新たに盛り込み、17年の出水期までに作成、公表する。区域図は、市町村が作成するハザードマップの基礎資料にもなり、策定後に19河川に関わりがある19市町がハザードマップを見直す。
洪水監視体制の強化に向けては、水位雨量情報システムの改修工事のほか、水位周知区間にある34カ所の水位観測所へのウェブカメラ設置を計画する。カメラを設置することで、実際に現地に足を運ぶことなく水位を把握できるようにする。
水位雨量情報システムは老朽化により、万一故障した場合、部品調達が難しい状況だという。このため、公募型プロポーザルにより業者から提案を受け、県庁内と12土木事務所にあるシステムを更新する。ウェブカメラは緊急性の高い箇所から順次設置していく方針だ。
このほか、大規模水害時の行動計画を策定し、災害警戒・災害対策の各段階に、いつ、誰が、何をするのか具体的に分かるようにする。