地方独立行政法人市立秋田総合病院が公募型プロポーザルで進めていた同病院改築の基本構想策定支援業務で24日、株式会社病院システム(東京都豊島区)が優先交渉権者に決定した。病院の構想・計画や建築設計などを手がける同社は「自治体病院の使命を果たすという意向に沿い、地域の安心や発展に貢献する病院となるよう支援させていただきたい」と話している。今後は基本構想検討委員会(仮称)が設置され、施設整備計画などが検討される。
同病院(川元松丘町4の30)は昭和59年に竣工。すでに建設後30年以上を経過しており、耐用年数(税法上の減価償却年数39年)からみても建て替えの検討が必要な時期となっている。
病室も1室6床の多床室が多いことで患者のプライバシー確保が困難となっており、空調管理でも夏季・冬季に苦情が発生しているほか、医療の高度化や専門化に伴う機器設置スペースも不足。高齢化の進展に対応する第4次医療法改正における病床・廊下幅などの面積基準(同病院建設時の約1.5倍)を満たすことも求められている。
このような状況を踏まえ、病院は昨年4月に建設検討委員会を設置。建設地や施設規模などを検討し、現在地に建設する方針を固めている。想定延べ床面積は最大で34,400u、中間で30,000u、最小で27,000uと設定し、事業費は最大値で196億円、中間値で176億円、最小値で162億円と試算。本体工事費ベースで見ると、最大158億円、中間138億円、最小124億円となっている。
また、外構工事が3億円、什器・備品等(据付型医療機器、什器)が20億円、設計委託費が最大3億3,000万円、中間3億円、最小2億8,000万円、現病院の解体費が8億6,000万円、駐車場整備費が2億8,000万円などと試算しているが、現段階で面積や事業費は参考程度としている。
今回、基本構想策定支援業務のプロポーザルには7社が応募。今月17日の公募型プロポ審査委員会でプレゼンテーションとヒアリングを行い、総合的な評価・採点で最高点を得た病院システムを優先交渉権者に選定した。今後、30日以内に同社と正式契約し、来年3月22日の期限で進める。
業務では病院の役割や方向性、医療の基本方針(コンセプト、重点機能等)、求められる診療機能(診療科目、病床機能、適正規模等)といった基本方針を策定。施設整備計画として平面配置計画や駐車場配置計画、建物概要(規模、構造、設備、部門配置、部門別面積等)などもまとめる。整備手法や事業費の積算、事業収支計画、整備スケジュールなど事業計画も策定するほか、今後設置する基本構想検討委員会(仮称)の運営等支援も行う。
提供:秋田建設工業新聞社