(一社)大多喜町地籍調査協会(白鳥秀一代表理事)の設立記念式典が20日、同町のResortXiew大多喜で開かれ、飯島勝美・大多喜町長をはじめ石田義廣・御宿町長、関重夫・勝浦市副市長、上島浩一・いすみ市副市長ら関係者20人余が出席。「長生郡市」「山武郡市」「木更津市」に次ぐ県内4番目の一般社団法人による地籍調査協会として、昨年11月10日に設立した同協会は、5社員(4社、1個人)でスタート。式典の席で白鳥代表理事は「設立間もない小さな組織ではあるが、今後はさらに社員を増やしていく中で、大多喜町をはじめ夷隅郡市の地籍調査業務推進に寄与できる法人を目指していきたい」と力強く抱負を述べた。
◇小さな発足に大きな期待
一般社団法人である同協会の社員は、コルタ測量梶iいすみ市)、株ェ州(東京都)、根本測量梶i大多喜町)、潟Aサヤ測量(いすみ市)、菅野克則氏の5者。大多喜町における地籍調査の早期事業化とその推進に寄与することを目的に、昨年1月にその前身となる「大多喜町地籍調査推進委員会」を立ち上げた。構成員としては、(公社)千葉県測量設計業協会や千葉県土地家屋調査士会などの会員のほか、目的の趣旨に賛同する個人・団体の9委員が集まり、研修を重ねた。
一方、国の第6次国土調査十箇年計画の中間見直しの施策に基づき、大多喜町の地籍調査事業計画が改定。本年度からスタートすることになった同町の事業計画の円滑な推進に寄与するため、態勢が整った前出の5者で協会を設立し、本年2月10日には、関東地方整備局における「測量法に基づく測量業者」として登録。4月18日には、千葉県電子自治体共同運営協議会に「指名参加願い」を提出した。
◇熊本地震で地籍調査、重要性を改めて認識
この日の記念式典の冒頭で、主催者としてあいさつした白鳥代表理事は、先日発生した熊本地震の被害状況に言及。「人的な被害はもとより、住宅の崩壊だけでなく、山間部のがけ崩れなどで農地にも甚大な被害が生じている」と述べたうえで「こうした災害復旧に地籍調査の重要性が改めて認識された」と指摘。
さらに、大多喜町の地籍事業計画の中にある「町の総合計画における災害に強い町づくりを前提とした効果的な地籍調査の実施を目指す」という文言に対しては、「我々としても住民への国土調査の重要性の啓発を含め、事業の推進に全力を挙げて寄与する所存」との決意を示し、あいさつを結んだ。
◇「行政にとっても非常に強い味方」
この日は来賓を代表して、大多喜町の飯島勝美町長と御宿町の石田義廣町長があいさつ。この席で飯島町長は、同町が県内の町村で一番広い面積(約130ku)を有することを紹介したうえで「これまで実施したペースで地籍調査を進めると『120年から130年かかる』という計算になるため、これを『何とか30年ぐらいで完了させたい』という方向で計画を立て直し、いよいよスタートしたところである」と説明。地籍調査については「公共事業の中でも、道路などのインフラ整備を行ううえで重要な役割を担っている」との認識を示す一方、「これから全国的にも地籍調査事業の機運が高まってくるものと思われ、実施する業者が引っ張り蛸となることで、事業量に対して業者数が手薄になるのでは」との危機感をにじませた。
その中で、2項委託による同協会が設立したことに対しては「私ども行政にとっても非常に強い味方を得た」と歓迎。さらに、業務については「入札等での委託となるが、私どもの町の地籍調査事業が早期に完了出来るように、力添えを頂きたい」と要請するとともに「貴協会の繁栄を心から祈念している」と述べた。
◇地域の発展と住民生活の向上に寄与
引き続き、御宿町の石田町長は、地籍調査における必要性や有効性について「一定の理解は示されているものの、長期にわたる調査になることから、人的負担などにより中々実施に踏み切れない事業であると思慮している」と弁。同町においては「土地をめぐる経済活動の活性化や境界問題の未然防止をはじめ、行政分野においても課税の適正化や公有地管理の効率化など、そのメリットに着目し実施の検討はしているものの、非常に限られた職員の中で、先送りをせざるを得ない状況にある」との厳しい現状を吐露。
その中での同協会の設立については「今後、地籍調査事業にまい進されることは、地域の発展並びに住民生活の向上に大きく寄与するもの」と期待を寄せ、さらに「いずれは夷隅地域全体の調査も計画されると伺っている。心から協賛を申し上げたい」とのエールを送り、祝辞を結んだ。