藤井組(南砺市坪野192 藤井秀之代表取締役社長)は、北陸地方整備局富山河川国道事務所が発注の「能越道中波地区舗装工事」(氷見市)において、路肩部分の現場打防草コンクリートを、モルタル吹付に工法変更することにより、工程短縮で大きな成果を上げた。
同工事の契約期間は、14年9月3日から15年3月31日で、施工延長783メートル。本線と橋面のアスファルト舗装工のほか、管渠工や現場打ち集水桝、ガードレール、防草工を施工する現場だった。
現場担当者の蓑口土木部次長は、施工に当たっての環境について、「3月14日の北陸新幹線開業に合わせた工事で、当該工事区間を含む能越道七尾氷見道路は2月28日の供用開始が決まった。当現場は2件の別発注盛土工事と工期、施工範囲が重複し、工事進捗に遅れが生じており、施工計画の見直しを余儀なくされた」とした上で、「工期厳守の中、当時はどの建設業者も忙しく、人や機械が不足。大雪もあり、除雪しながらの施工だった」と振り返る。
作業工程の中で特に問題だったのは、冬期の路肩部分の防草コンクリートの施工であり、「路肩法面部のコンクリート打設は、人力施工での作業。労力を要する上に天候にも左右されやすく、1日当たりの施工量にも限度があった。1日当たりの施工量を増やし、施工日数を短縮することが課題だった」と説明する。
課題解決へ、モルタル吹付工法を比較対象として検討。コンクリート打設の1日当たりの施工量に着目し評価した結果、「打設回数は現場打ちコンクリートが48回、3月下旬完了予定に対し、モルタル吹付が19回の2月中下旬完了と判明。施工の安全性も踏まえ、総合的な判断として、モルタル吹付工法の採用を提案し、採用に至った」と検討プロセスを解説する。
加えて、「ラス張・アンカーピンによる滑落防止を図り、ガードレール支柱を利用した親綱・ロリップによる作業足場の確保を行い、安全な作業環境を構築した。路肩部分の継目部は、スプレー型プライマーの防草シール(NETIS登録)を用い、施工性の向上も図った」と強調。
一方、モルタル吹付は表層後の路面上からの施工となるため、モルタルの飛散防止にも留意する必要があったとし、「枠組足場前面にコンパネとブルーシートを用い、飛散防護対策を行った。接地部分はローリングキャスターの移動式とし、足場板を用いて資機材を置くスペースを確保するなど、施工性の向上を図った結果、舗装路面を汚すことなく施工できた」とポイントを説く。
また、冬期間の施工に伴い、品質確保がネックだったことから、「吹付モルタルにクラック抑制剤と防凍剤を使用。その結果、良好な品質のモルタル吹付を構築することができた」と胸を張る。
工事完了後、発注者からは「工期に余裕がない中、別件発注工事が輻輳(ふくそう)した厳しい冬期間の施工だったが、無事故で開通式を迎えることができ、大変感謝している」との言葉をもらったそうだ。