福島建設工業新聞社
2016/05/19
【福島】大熊分析・研究施設第1棟は9月まで公告/JAEA
経済産業省の補助で日本原子力研究開発機構(JAEA)が大熊町に整備する「放射性物質分析・研究施設」の第1棟新築工事は、9月までに総合評価(WTO型)一般競争を公告し、年内に入札執行する見通しとなった。同施設は3棟で構成。このうち事務室や分析作業員居室などで成る施設管理棟は、6月9日開札へ入札手続き中で、両棟の発注・着工によって、東京電力福島第一原子力発電所(1F)サイト内のガレキ類、燃料デブリなど放射性廃棄物処理・処分に向けた分析・研究施設整備が今年度本格化する。
1Fの廃止措置を推し進めるのに必要不可欠な遠隔操作機器や、放射性物質の分析・研究などに関する技術基盤を確立するため経産省は、JAEAを通して楢葉町に遠隔技術開発センター(モックアップ施設)、大熊町に放射性物質分析・研究施設を整備している。
楢葉遠隔技術開発センターは、1F建屋内の調査・作業や、燃料デブリ取り出しの作業システムを開発・実証する研究拠点。遠隔操作機器の訓練、作業用ロボットの開発実証試験などを行うため、研究管理棟と試験棟を建設し、昨夏に一部、今年度に本格運用を開始した。
大熊分析・研究施設は、放射性廃棄物を処理・処分するための研究拠点に位置付ける。施設管理棟のほか、分析・研究棟は低・中放射線量対象の第1棟、高放射線量対象の第2棟で構成し、1F敷地に隣接する大熊町夫沢字北原地内に建設する。
今年度着工する第1棟は、RC(PC)造3階建て延べ約1万平方b規模で新築する。低・中放射線量のガレキ類、焼却灰、水処理2次廃棄物などを分析するためのフード室、グローブボックス室、鉄セル室などを整備する計画で、1階で分析対象物を受け入れ、2階で粉砕、溶解、抽出操作などの前処理を行い、3階で分析・測定することを想定している。
発注規模は6億円以上を見込んでいるため、総合評価(WTO型)一般競争で工事発注する。第2四半期(7〜9月)に公告し、第3四半期(10〜12月)に入札する予定だ。工期は27カ月間を見込み、30年度中の完成を目指す。建築実施設計は日建設計、内装設備詳細設計は日立GEニュークリア・エナジー、東芝、三菱重工業が担当。
燃料デブリや高線量ガレキ類などを扱う第2棟は、今年度から2カ年で詳細設計を進め、30年度着工を目指す計画。
入札手続き中の施設管理棟は、RC(PC)造4階+塔屋延べ4621平方b規模。単体と特定JV(3社以内)の混合入札で、9日に入札参加を締め切った。入札期間は6月7日午前10時から9日午後1時。WTO適用の施工体制確認型総合評価(技術提案評価型)一般競争で9日午後2時に開札する。