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北陸工業新聞社
2016/05/19

【石川】エリアマネジメントを導入/片町の老朽ビル再整備へ/金沢市/「育てる開発」今年度にプラン

 「片町きららに続け!」。金沢市は今年度、都心軸沿線の都市機能の更新を連鎖的に推進するため、地元が主体となって地域の良好な環境づくりに取り組むエリアマネジメント手法を導入する。市がまちづくりのノウハウを持つ専門家を地元に紹介するなど、プランづくりの初動期活動を支援し、民間老朽ビルの再整備実現へとつなげていく。
 エリアマネジメント手法とは、一定のエリアを対象に地域の良好な市街地環境の形成と地域全体の価値向上のため、民間が主体となって開発の計画段階から事業完了後の管理、運営まで一貫して関与していく取り組み。
 国土交通省では、同手法の推進マニュアルを作成し推奨。これからは開発だけではなく、その後のマネジメントの方法、つまり「育てること」までを考えた開発を行うことが必要とし、その効果には▽快適な地域環境の形成と持続性の確保▽地域活力の回復・増進▽資産価値の維持・増大▽住民・事業主・地権者らの地域への愛着や満足度の高まり―を挙げている。
 今回、金沢市が対象とするエリアは、片町A地区第一種市街地再開発事業で整備された「片町きらら」から香林坊交差点間の都心軸沿線地区(片町1丁目)。当該エリアは老朽化したビルの顕在化による防災への不安などを抱え、早急な再生が望まれている。
 そこで、市は地元に同手法を取り入れて、老朽ビルの再整備へと導いていく。権利者組織(ビルオーナーら)に、まちづくり専門家(再開発プランナーや都市計画コンサルタントら)をアドバイザーとして紹介し、市の職員自らも意見交換に参加するといった初動期活動の支援を行い、エリアにおける良好なまちづくりを手助けしていく。
 市によると、まちづくり専門家には都市・地域計画のハード分野のみならず、地域のまちづくり・活性化などのソフト分野にも精通している専門家を招く考え。また、同手法においては、地元のまちづくりに対する意識の醸成や権利者同士の合意形成が、活動をスムーズに進行していく上で重要になるとしている。
 地元では昨年度からすでに、意見交換会などを開いて再整備手法の検討やニーズの把握に努めており、今年度は同手法により、まちの将来ビジョンや良好な環境の形成(景観デザイン)、まちの賑わいやコミュニティ形成などをさらに検討し、整備プランをつくり上げていく。
 整備プランがまとまれば、再開発事業として成功した片町A地区に続く再生プロジェクトが動き出すことになる。

hokuriku