香川県は、2016年度のため池緊急防災対策等事業で12億9837万円を投入し、ため池ハザードマップ支援や県営ため池緊急防災対策(耐震性点検調査)のほか、ため池耐震化整備運営、県営ため池耐震化整備や小規模ため池防災対策特別事業に取り組む。大規模な地震が発生した場合の防災・減災の観点から、市町へのハザードマップ作成支援のほか、貯水量、下流域の状況を考慮した耐震化の推進や保全・管理が困難となった小規模ため池の防災対策を推進しているもの。耐震補強工事に着手するものは年度下半期からの着工となる見込み。
ハザードマップ支援事業は市町が行うため池が決壊した場合のハザードマップの作成を県が支援するもので事業費8000万円。防災意識の向上に加え、被害の回避と軽減を目的としている。本年度は東かがわ市が5カ所、坂出市8カ所、綾川町9カ所、まんのう町が18カ所の計4地区40カ所のハザードマップを作成する。
市町ごとに貯水量や下流域の状況を考慮しつつため池決壊を想定した浸水区域や避難箇所、避難ルート、水深などをハザードマップに盛り、住民に示すことで防災・減災意識を高める狙い。県内ではため池の貯水量10万d以上のハザードマップの作成が終了。10万d未満で、市町ごとに異なる防災上重要なため池を対象にハザードマップの作成を急いでいる。
県営ため池緊急防災対策事業(耐震性点検調査)では7270万円を計上。「香川県ため池耐震化整備検討委員会」で検討後に耐震化補強工事が必要と判断された、県内一円のため池について次年度の事業採択に向け基本計画を策定する。当初計画では18カ所程度を予定。計画策定では、工事発注できるまでの詳細設計を委託する。
県営ため池耐震化整備事業には10億4265万円を計上し耐震点検調査後、耐震性が確保されない、ため池の耐震補強工事を進める。本年度は東讃・小豆地区(高松市、東かがわ市)2カ所▽中讃地区(丸亀市外1市1町)3カ所▽西讃地区(観音寺市、三豊市)2カ所▽香川地区(三豊市)1カ所▽東讃2期地区(高松市、さぬき市)新規、3カ所▽中讃2期(丸亀市外2市2町)新規、5カ所▽西讃2期(観音寺市)新規、1カ所―で補強工事に取り組む。
一方、小規模ため池防災特別対策事業は県内一円を対象に1億円を計上した。同事業は、農業従事者の高齢化や減少による保全・管理が困難となったり、受益地がなく管理放棄された防災上危険な小規模ため池について、貯水機能の廃止や一部規模の縮小などの防災措置を講じ、災害の発生を未然に防止するもの。市町を支援し老朽化した小規模ため池の防災対策を促進する。地域の防火水槽としての機能維持やビオトープとしての親水空間の活用もある。
今後、市町に補助採択の決定後、市町で必要な工事などがあれば秋以降に防災措置を講じる。
提供:建通新聞社