金沢市への移転が有力視される独立行政法人国立美術館「東京国立近代美術館工芸館」について、県内移転、誘致を提案していた県は兼六園周辺文化の森ゾーン内を移転先に想定し、具体的には「県立美術館と県立歴史博物館に挟まれた場所にある県庁出羽町分室(現在、解体工事中)の跡地を建設候補地に充てたい」との考えだ。
谷本正憲知事は工芸館の県内移転に関して「文化立県を目指す本県にとってふさわしい施設。移転費用など解決すべき課題もあるが、石川の個性と魅力に厚みを加えるためにも国に対し、メリットを訴えていく」と県議会2月定例会の代表質問で答えていた。
一方、国のまち・ひと・しごと創生本部は、東京一極集中を是正する観点から、政府関係機関の地方への移転に関する基本方針を決定(3月22日付)。石川県分として東京国立近代美術館工芸館の移転など計3件が盛り込まれ、同施設の移転については「近代工芸分野等における国全体及び当該地域の文化振興や観光振興の観点等に留意し、石川県において現工芸館と同規模程度の施設を整備することを前提に、具体的な施設機能や時期等を文部科学省、国立美術館及び県において、数年のうちに移転する方向で検討を進め、8月をめどに一定の結論を得る」などと示された。
現在、国において検討が進められており、県は「地元の意向を伝えるなど、国とやりとりしながら協力していく。8月中とされる発表内容を見極めたい」としている。