事業関係地方公共団体が対応方針原案の案を了承 今後 九地整事業評価監視委員会を経て、検討結果を国交省に報告 国土交通省九州地方整備局は11日、佐賀市の県教育会館で城原川ダム(神埼市)事業の関係地方公共団体からなる検討の場の第4回会合を開いた。参加した山口祥義県知事、松本茂幸神埼市長、赤司邦昭佐賀市副市長は、流水型ダム(洪水調節専用)を整備するダム事業の継続を妥当とする対応方針原案の案について了承した。
国交省は1月に開いた第3回検討の場で総合的な評価の結果、最も有利な案はダム案とする評価結果を示した。この日は、その後、学識経験者や関係住民から聞いた意見に対する国土交通省の考え方やそれらをもとにまとめた検討報告書原案の案について意見を交わした。
山口知事は「全国各地で洪水氾濫の危険性が高まっている。城原川では近年、2009年、10年と立て続けに大規模な洪水に見舞われ堤防決壊の危機にさらされており、治水対策を早期に実施する必要があると考えている。今回、ダム案が最も有利とする評価結果が示されたが、検証作業が透明性、客観性を大切に進められたことを評価し、その結果を尊重していきたい」と述べるとともに「治水対策を進めるにあたっては自然環境や景観にしっかりと配慮し、コスト縮減、工期短縮にも努めて欲しい」と要望した。
松本市長は「検証の結果、ダム案が最も有利と示されたことに感謝するとともに、一日も早い城原川の治水対策の実現に取り組んでもらいたい」と述べ、赤司副市長は「ダム整備は佐賀市にとっても有効と考えている。城原川ダムを含めた治水対策が早期に講じられることを期待している」と話した。
ダム案は、河道改修(河道掘削や築堤)を実施するとともに城原川ダムを建設することにより、城原川の日出来橋において、河川整備基本方針に対応した流量毎秒690立方bのうち、毎秒360立方bの流量低減を図る。
高さ約60b、堤頂長約330b、総貯水容量約355万立方bの重力式コンクリートダム ダムの建設予定地は城原川上流の神埼市神埼町(左岸側)、脊振町(右岸側)。規模は高さ約60b、堤頂長約330b、総貯水容量約355万立方bの重力式コンクリートダム(流水型ダム)。このほか、河川改修では河道掘削約12万立方bなどを行う計画にしている。
ダム建設に係る総事業費は約485億円で、17年度以降の残事業費は約439億円(工事費196億6900万円、用地費・補償費132億9900万円円、間接経費69億3200万円、工事諸費39億8700万円など)。
工期は、建設事業着手から約13年間程度を見込んでおり、このうち用地補償等については用地調査2年、補償基準妥結1年・補償契約1年の計4年間程度要するとみている。
2010年9月に検証対象事業となり同年12月以降、検討の場準備会を2回、検討の場を4回開き、ダム事業を継続することを妥当とする対応方針原案を盛り込んだ、城原川ダム事業の検証に係る検討報告書原案の案がまとまった。今後は文書で県知事から意見を聞き、対応方針原案をまとめ、九州地方整備局の事業評価監視委員会の審議を経て、検討結果を国交省に報告する。国交省は報告を受けた後、有識者の意見を聞き対応方針を決定する。