高知県は5月9日、南海トラフ地震対策推進本部会議を開き、熊本地震から見えてきた課題と対応策や、2016年度の部局別の主要な南海トラフ地震対策スケジュールについて示した。熊本地震の被害状況を踏まえ、新規で高齢者や障害者のグループホームの耐震化を検討するほか、防災拠点施設の耐震化など拡充、加速化が必要な取り組みを示した。
熊本地震から見えてきた課題と対応策のうち、新規追加項目として挙げられた主なハード整備は、地域福祉部が高齢者・障害者のグループホームなどの耐震化検討、公営企業局は、杉田・吉野ダムの非常用発電機が長時間連続運転仕様でないため、設備改良の検討を急ぐ必要があるとした。
拡充、加速化する項目については、危機管理部が庁舎や病院といった防災拠点施設の耐震化の加速を挙げ、財源の確保を国に要望する考えを示した。ほか、ライフライン早期復旧の加速化、孤立地区解消のヘリポート整備支援の拡充も挙げた。
健康政策部は、水道施設の耐震化を加速する方針。まずは配水池の耐震化を重点的に取り組む。文化生活部は、私立学校の耐震化支援について、現在耐震化率が83・6%であり、学校に働きかけをしていく方針。商工労働部は、商店街施設の耐震化支援として、アーケードの耐震化は完了しているが、街路灯などの耐震化をチェックする方針。農業振興部は、ため池の決壊を防ぐための耐震化を加速する方針。
土木部では、道路について啓開道路の橋梁耐震化、法面崩壊などを原因とする緊急輸送道路の寸断、高速道路の通行止めを課題として挙げた。道路啓開計画の策定、橋梁耐震化、啓開道路の橋梁耐震化を拡充・加速化し、高速道路上にある跨道橋耐震化の必要性も示した。住宅については、耐震化の重要性を再認識し、比較的新しい住宅の倒壊被害への対応を検討する方針。
教育委員会では、県立学校のコンクリートブロック塀など改修、保育所・幼稚園などの耐震化支援、高知公園(高知城)の地震対策、国指定・県保護有形文化財建造物の耐震対策について加速化する方針。
これらの具体的な取り組みは、今月25日に開く次回の会議でまとめる。
提供:建通新聞社