地方版創生総合戦略の実質的なスタートとなる今年度、能登地区の自治体で、移住・定住に向けた取り組みが本格化している。能登町と珠洲市は、事業者から物件を借り上げ入居者に転貸する「サブリース」制度を導入。輪島市は旧官舎を「移住促進住宅」にリニューアルした。志賀町では、大手ハウスメーカーが持つノウハウを活用して、U・Iターン者らへのPR活動などを強化する。
能登町は、新築の賃貸共同住宅を民間事業者から20年間借り上げ、入居者に転貸する「サブリース」制度を活用する。事業者には空き室などに関係なく借上料が支払われ、借上期間が終わると、建物が返還される仕組み。
共同住宅を建てるのは、回転すし店を展開するウエノフーズサービス(金沢市)や個人事業者ら公募で選定された3者。宇出津、松波、小木の各地域に計36戸を整備する予定だ。8月中の供用開始が見込まれる。
珠洲市では、空き家を所有者から10年間一括で借り上げる。市内に登録されている空き家40件の中から4件程度を選定し、リニューアルする。本格移住前の「ちょい住み」を体験できる基盤づくりを進め、U・Iターン者への対応を強化していく構えだ。近年問題となっている空き家の解消にもつなげる。
市は今後、物件の改修工事などの準備を進め、年内までに入居者の受け入れができるようにする。
輪島市は、北陸財務局から鳳至町畠田にある旧輪島合同宿舎1号棟(RC造3階建て一部4階建て)を購入し、輪島漆芸技術研修所研修生らを対象とした移住促進住宅に改装した。
間取りは世帯ルーム6室、シェアルーム6室、「ちょい住み」用の移住体験ルーム1室などをそろえた。すでに同研修所の研修生らが入居を始めている。入居期間は世帯およびシェアルームが4年以内で、移住体験ルームでは最大30日間まで延長できる。
志賀町は、大和ハウス工業と協定を締結し、官民協働で移住・定住促進に取り組む。同社が持つブランド力やPR力などを活用しながら、移住候補地としての知名度向上に努める。
大和側は、これまでに開発を手掛けた森林住宅地(能登志賀の郷リゾート)を志賀町内に所有しており、観光面でのプロモーション活動も連携して行う予定としている。
交流人口の拡大から移住・定住促進の施策へシフトし始めた能登地区の自治体。過疎地域では人口減少が喫緊の課題となっており、今後、こうした取り組みが成果を上げることに期待がかかる。