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建設経済新聞社
2016/05/11

【京都】高速3路線検証委が意見書案 早期の事業実施は困難も 交差点改良など強化付言

 都市計画決定後20年以上が経過した京都高速道路3路線(堀川線、久世橋線、西大路線)について、専門的・技術的な知見から事業を検証する京都市京都高速道路検証専門委員会(委員長・塚口博司立命館大学理工学部都市システム工学科教授)が10日開かれ、市長に提出する意見書案を固めた。
 検証委はこれまでに24年10月、25年2月、26年1月の計3回開催。最終となる今回の開催は約2年ぶり。
 3路線の見直しにあたり、▽高速道路ネットワークにおける位置づけや役割の視点▽都市計画施設としての役割や機能の視点▽事業としての成立の見通し−の3つの視点から検証した。
 10日の検証委で市側が示した意見書案によると「3路線の整備による効果は限定的で、また早期の事業実施についても困難と考える」「しかし、京都市ではボトルネックやミッシングリンクによる渋滞など、いまだ解決されていない交通課題を抱えていることから、3路線の見直しにあたって、特に必要となる取り組みについて付言する」とし、「京都市都心部では、特に南北方向の自動車交通需要に対し容量が少なく、需要過多の状態が見受けられる。とりわけ、堀川通のJR東海道本線交差部はボトルネックとなっており、今後も交通渋滞等の課題が残ることが確認された。そのため京都市においてはこの課題を解決するため、当該路線の交通容量の拡大に向け、取り組みを進めるべきである」「これまで重視してきた『つくる』視点に加え、『使いこなす』視点を強化し、交差点改良をはじめ機能を向上させる取り組みなど、既存の道路をこれまで以上に活用すべきである」を加えた。
 委員からの意見として、東川直正京都府建設交通部長は「使いこなす視点は重要。ただ京都市内の渋滞を見ても使いこなすほど社会資本が無いのが実態。ボトルネックとなっている箇所は整備していくべき。将来の観光のことなども考慮した視点も必要」、馬渡真吾近畿地方整備局京都国道事務所長は「3路線は対策とセットで見直しをしていくべき。渋滞損失時間や旅行速度などの視点も必要」、多田智阪神高速道路計画部長は「市全体の道路網をどうすべきかも考え、様々な視点からのデータを見て、関西全体での道路網の視点も取り入れ検討していただきたい」と述べた。
 市側は「京都市内は南北軸の交通が東西の交通量の2倍ある」「川端通の七条通以南などボトルネックの解消が必要と考えている」「将来の観光など多面的な視点から検討していきたい」と答えた。
 馬渡京都国道事務所長は「京都市内に流入する通過交通の転換が課題。第二外環状道路や、千代原口交差点の整備で国道9号の渋滞は改善傾向にある。より広域的な視点で考えていく必要がある」と意見を述べた。
 市は委員の意見を踏まえ、今後、意見書をまとめる。