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福島建設工業新聞社
2016/05/10

【福島】国内初CLT複合工法採用/郡山ヘアメイクカレッジ、今夏着工

 CLT(直交集成板)を用いた、東日本では最大規模の建築物が郡山市内に建設される。一般社団法人郡山美容協会・郡山ヘアメイクカレッジ(郡山市愛宕町、遠藤浩美代表理事)が計画している学校施設の新築工事で、県産木材を加工したCLTと集成材ラーメンフレームを組み合わせた、国内では初めてのハイブリッド構造を採用する。建築工事は7月ごろに着工させる計画で、29年3月完成を目指す。
 建物は2階建て延べ約1500平方bで、県産のスギやカラマツを加工したCLT壁柱とリブ付CLT屋根パネル、集成材ラーメンフレームを組み合わせたハイブリッド構造による新工法を採用する。
 計画は、市内愛宕町の既存校舎が老朽化し手狭になったため、JR東北本線安積永盛駅南側・安積町笹川3丁目地内にある旧倉庫街の敷地約4fの一部に移転して新築するもの。安積永盛駅周辺の倉庫街跡地を活用した再開発プロジェクトの先導施設としても位置付けている。基本設計はエーユーエム構造設計・高橋岳志建築設計事務所設計共同体が担当した。
 今後は実施設計者を選定し設計入り、7月ごろには施工者を決めて現地着工、来年3月の竣工、同年4月の供用開始を目指す。
 建設に当たっては県が昨年度創設した「ふくしま型CLTチャレンジ事業」の枠組みを活用する。事業を通じ、民間事業者が県内に計画しているCLTによる大空間木構造の建設を支援。接合技術や工期の短縮、建築コストなどを検証し、モデル施設としてCLTの普及促進につなげる。県は今年度当初予算に事業費2億5819万9000円を計上しており、設計・建設費の一部を補助する。
 県内には、県CLT推進協議会が建設した「湯川村CLT共同住宅」や、芝浦工業大学が開発し、会津若松市に移築したCLT実験ハウスがあるが、CLTがターゲットとする大規模建築物については、国内では技術的課題も多いことから、県は取り組みを通じて技術を検証しCLTの普及につなげる。
 CLTによる建築には、これまで個別の大臣認定が必要だったが、国土交通省は、木造の中高層建築を可能にするCLTを用いた一般的な設計法を定め、4月1日付で建築基準法に基づく告示を公布・施行した。告示に基づく仕様とすることで、準耐火構造で建築可能な3階建て以下の建築物は、防火被覆なしでCLTを用いることが可能になるなど、CLT建築のための環境整備が進んでいる。
 県内では原発事故以降、県産木材の生産量は低迷している。施設の木造化の可能性を拡げるCLTは、新たな木材需要を喚起する起爆剤として期待されている。