日本工業経済新聞社(群馬)
2016/05/09
【群馬】6月1日公告分から2016年度モデル適用
県は最低制限価格および低入札価格調査基準価格の算定基準を改定し、6月1日以降に入札公告(指名通知)などを行う工事請負・業務委託から適用する。ことし3月に「中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル」(中央公契連モデル)と「予算決算及び会計令(予決令)第85条の基準の取扱いについて」が改正されたことに伴う措置で、全部局発注案件が対象となる。工事請負・業務委託のいずれも、従前の計算式と比べると最低制限価格などが2%程度上昇する見通し。改正入契法の趣旨にのっとり、ダンピング受注防止が期待される。
工事請負契約では、現場管理費の算入率が2013年モデルの0・80から、0・90に引き上げられる。これまでは、現場代理人と監理(主任)技術者の費用だけを含めていたが、品質確保の観点から全ての技術者の費用を計上することに変更したことが理由だ。
6月1日以降は「直接工事費×0・95+共通仮設費×0・90+現場管理費×0・90+一般管理費等×0・55」の計算式で最低制限価格(低入札価格調査基準価格)を算出する。算出した価格が予定価格の10分の9を超える場合は10分の9、10分の7に満たない場合は10分の7とする。
県契約検査課によると、昨年度の土木一式工事を対象に13年モデルと新モデルを比較した結果、13年モデルの最低制限価格などは平均して予定価格の約86%だったが、新モデルでは約88%となり、約2%上昇するという。
業務委託契約においても「予決令第85条の基準の取扱いについて」の改正に伴い基準を見直す。現行は、いずれの業種も一律、予定価格の75%としていたが、6月1日以降は、業種ごとの算定基準を適用する。
例えば測量業務では「直接測量費+測量調査費+諸経費×0・45」で算出する。同様に、建築関係の建設コンサルタント業務は「直接人件費+特別経費+(技術料等経費+諸経費)×0・60」、土木関係の建設コンサルタント業務は「直接人件費+直接経費+その他原価×0・90+一般管理費等×0・45」、地質調査業務は「直接調査費+間接調査費×0・90+解析等調査業務費×0・80+諸経費×0・45」、補償関係コンサルタント業務は「直接人件費+直接経費+その他原価×0・90+一般管理費等×0・45」での算定基準を適用する。これまで含まれていなかった本社従業員の給与や手当などが計上されることとなる。
同課が5業種ごとに試算した結果、最低制限価格などは、改正がなかった建築関係の建設コンサルタント業務を除き、平均して2%程度上昇する見込みだという。範囲は地質調査が予定価格の3分の2〜10分の8・5、それ以外の4業種は10分の6〜10分の8とし、それぞれの範囲を超えた場合は建設工事と同様の対応となる。
また、5業種以外のその他業務の取扱いも明確化する。保守点検などの建設工事の積算体系に準拠している業務は「建設工事関連維持管理業務」とし、建設工事と同様の計算式で算出。水質調査など5業種に当てはまらない業務についても、積算体系が類似する業務に準じて算出する。
さらに、複数の対象業務を一つの業務として複合して積算している場合には、個々の対象業務ごとに算出し、それらの額の合計額を最低制限価格などとする。
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今回の改正の背景には、14年6月に改正された入契法の中にダンピング受注の防止が明記されたことがある。国土交通省でもすでに同様の見直しを行い、4月1日から適用している。