敦賀市は、先に熊本県および大分県で連続して発生した熊本地震を受け、市役所庁舎の建替えも有力な選択肢として今後、再検討する構えだ。
市庁舎の耐震化にあたっては、これまで耐震改修を実施する方向で概算事業費や最適な工法など協議を進めるともに、柱で補強する場合に増築スペースも確保するなど様々な検討がなされてきた。しかしながら、仮に耐震改修等を実施しても熊本地震クラスの大規模災害が発生した場合に建物の半壊など、防災対応の中枢となる市役所庁舎が機能不全に陥る可能性もあることから、建替えも有力な選択肢として考え直すことにした。
市では15・16年度で策定する「敦賀市公共施設等総合管理計画策定および固定資産台帳整備支援業務」(担当/朝日航洋)の結果を踏まえて、市が管理する公共施設全体の状況を把握。長期的な視点で、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことで、将来的な人口減少問題も念頭に置きながら財政負担を軽減・平準化。安全面と機能面を確保しながら、次世代に可能な限り負担を残さない効率的・効果的な公共施設等の最適な配置を実現させる。
例えば、敷地が広いにも関わらず利用状況が他の施設に比べて少ない建物は、庁舎建替えの有力な移転候補地とするなどの方法も模索していく。現在地建替えの場合は既存施設を利用しながら駐車場に新庁舎を建設し、完成後に既存庁舎を解体するという工程も考えられる。
候補地の選定にあたっては市役所に隣接して立地する市防災センター機能も考慮しながら、市民の声を十分に反映させることにしており、公共施設等総合管理計画が策定される16年度内の早期に建替え、耐震改修など整備の方向性を示した上で、合意形成を図る。
中央町2丁目地係に立地している現庁舎(1974年建設)は、RC造地上5階地下1階建て延べ8678・65平方メートル。11年度に耐震診断調査(担当/大建設計)を実施した結果、耐震補強が必要と判断されている。12年度の耐震工法の検討を踏まえて、13年度には職員によるプロジェクトチームを設置し、耐震化に伴う執務上の問題点などの洗い出し作業を実施している。
これまで指定避難所として活用が見込まれる学校や市立体育館の耐震化が優先され、整備方針が決まらないまま、すでに耐震診断から5年が経過しようとしている市役所庁舎。防災機能強化、さらなる市民サービス向上等を図るためにも早急に整備方針を決める時期が近づいている。