=阿蘇支部=
熊本県建設業協会阿蘇支部(内田知行支部長)は、阿蘇地域振興局から大規模災害時の支援要請を受け、熊本地震の応急復旧作業に尽力している。山崩れが発生した阿蘇郡南阿蘇村の高野台地区では、自衛隊や消防・警察が行方不明者を捜索するための環境づくりに従事。2次災害の危険と隣り合わせの被災現場だが、誰よりも先に現地に入り支援作業を行った。
阿蘇地区では16日未明の震度7の地震により、大規模な被害はもとより停電が発生。連絡系統の遮断や被災した会員企業も多く、現在7社での作業を余儀なくされている。道路被害が顕著で、内牧停車場線(阿蘇市三久保)では道路が隆起、別府一の宮線(阿蘇市一の宮町)では落石が発生するなど現在も多くの道路が遮断されている。
阿蘇地域振興局からは県道30路線での修繕176カ所、舗装修繕126カ所、土砂撤去9カ所(総土量約700立方b)、施設修繕41カ所や山王谷川(南阿蘇村)、布田川(西原村)の土砂撤去などの支援要請を受けている。
内田支部長は「今後、高野台地区で大型土嚢の設置作業を行っていく。余震も頻繁に起こっており、2次災害の危険性が高い現場が多く、いまだ予断を許さない状況だ。これまで以上に安全管理を徹底し、応急復旧作業に全力で取り組んでいく」と話す。
=上益城支部=
熊本県建設業協会上益城支部(尾上一哉支部長)は、上益城地域振興局からの要請を受け、益城町の人命救助へ向かう自衛隊などの緊急車両が進入できるよう、15日午前7時から道路啓開作業に着手した。
尾上支部長が各地区分会長に連絡を入れるが繋がらないため、山都町分会が益城町へ入り、寺迫交差点周辺の災害状況調査に入った。必要な建機を集め作業員約200人を動員、倒木やがれきの撤去にあたる。人命救助を最優先とした行程で作業が進められた。
現場は、県や支部員からの要請、応援の連絡が頻繁に入り対応に追われる状況が続いたため、山都町の同支部会館に対策本部を設置し、情報収集を一本化した。
緊急応急をはじめた翌日、2度目の地震が襲う。復旧した場所が再び被災した。支部員だけでの作業が困難となり、下請業者へ協力要請して1000人以上が管内の現状調査と復旧作業にあたった。
余震が続く危険な状況下で啓開作業が続く。これまでの情報体制では限界となってきたため「災害情報共有システム」を活用、被害地区を素早く確認することが出来るようになった。迅速な対応が可能となり、20日に国道443号の寺迫地区応急復旧が完了、22日からは県道熊本嘉島線などの補修作業に取り掛かっている。
今回の地震災害について尾上支部長は「人命救助を最優先に考え、自衛隊などの緊急車両を進入させるため道路啓開から手をつけた。地下構造物や地盤の状況等が分からない中での作業を今も進めている。震度3程度の揺れでも建物倒壊、新たな道路損傷などが考えられる」と危機感を募らせる。今後の取り組みについては「県と協力しながら、ドローンを活用した上空からの被災現場の把握など、迅速に対応していく」と話した。
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西日本建設新聞社