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北陸工業新聞社
2016/04/26

【石川】“金沢で木造都市を構想”/尾張町中心にモデル、特区/JIA名誉会員水野一郎氏が提唱

 日本建築家協会(JIA)北陸支部石川地域会の建築フォーラム「金沢・木造都市の可能性」が23日に開催され、JIA名誉会員の水野一郎氏が同市尾張町を中心に、近江町市場から橋場町にかけてのエリアで歴史的建築物を活かした木造都市構想を提唱するとともに、その実現方策として▽延焼のないまちづくり▽都心軸沿いの防火地域を準防火地域に変更▽木造都市へのモデルとしての『木造特区』の可能性―といったキーワードを挙げ「木造都市を模索したい」と強調した。
 水野氏はひがし茶屋街を引き合いに「耐震性能も耐火性能も不足している中、200年以上も生き続け、その上で重伝建に指定され、木造の街並みを継続している」と指摘し、「木造の復権、日本の建築文化としての木造の再評価、エコ再生資源としての木材使用などの木造都市に金沢から挑戦してみたい」と意欲を示した。
 フォーラムに参加した学識経験者らからは「まちの中に木を貯めることで地球に負荷をかけなくて済む」(後藤正美金沢工大教授)、「木造のまちができれば都市の景観も大きく変わっていく」(長谷見雄二早稲田大学理工学術院教授)、「森林は今、間伐から主伐へという流れ」(中東の宮越久志常務取締役)といった意見が出された=写真上。
 オブザーバーとして参加した金沢市都市整備局担当部長兼建築指導課長の中村和宏氏は「防火地域を準防火地域に変更するのは容易ではないが、防火を前提にしたソフト的な消火体制、トータル的なバックアップが必要」との見解を示した。長谷見教授は最近の中層・大規模木造建築物の事例として▽被覆型耐火木造▽燃え止まり型耐火木造▽木質ハイブリッド構造―を紹介し「火災を早く感知する方策、延焼遮断帯を設ける」などと述べた。
 フォーラムの冒頭、山野之義金沢市長も聴講した。

hokuriku