熊本地震から一週間が経過した。14日夜の地震被害の応急復旧に取り組んでいる最中、16日未明の本震が更に追い打ちをかけた。県内建設関係の団体・企業はいち早く被災現場にかけつけ、道路の応急復旧、パトロール、避難所支援など様々な災害支援活動に尽力している。県内業界団体で最大の会員数を持つ熊本県建設業協会(熊建協、橋口光コ会長)のこれまでの活動を追った。
14日午後9時26分に発生したマグニチュード6・5地震を受け、熊建協の各支部・部会は、熊本県各地域振興局との「大規模災害時の支援活動に関する協定」に基づいた活動を始めた。直ちに連絡体制を整備し、一部は対策本部設置やパトロールを実施した。
15日未明からは、路面隆起等補修、毛布運搬、道路・砂防・急傾斜施設等パトロールなどに取り組んだ。
復旧活動2日目を迎えようとしていた16日午前1時25分、想定外の2度目の地震(マグニチュード7・3)が襲う。南阿蘇村立野地区では大規模土砂崩れが発生し、阿蘇大橋崩落など被害が拡大した。
ライフラインが大きく破壊され、支部・部会は給水所への給水タンク運搬や路面陥没等補修、応急危険度判定士派遣。道路・河川・海岸パトロール、橋梁取付段差補修、路面応急作業計画作成、道路亀裂等補修、通行規制看板設置など多岐にわたる作業に奔走した。
18日になって、阿蘇立野地区の崖崩れへの対応について国土交通省熊本河川国道事務所から熊建協本部に要請が入る。これまでの支部・部会単位での活動ではなく協会全体としての初めての活動だ。直ちに緊急出動する。
橋口会長を代表に置き、国道57号への熊本側入り口を前川浩志氏、阿蘇側を森光也氏に対し、現場に入るよう伝えた。個別会社へではなく、協会の副会長、土木委員長としての依頼だ。取り急ぎ熊本側には前川副会長の指示で緒方建設と八方建設、阿蘇側は森工業が重機を持って入り、土砂の除去作業を続けている。開通させるためではなく、人命救助が先だという。
熊本県から橋口会長あてに支援要請が入ったのは19日午後1時30分。「大規模災害時の支援活動に関する基本協定」に基づく支援要請だ。具体的には▽公共土木施設等の被害情報の収集及び熊本県に対する報告▽公共土木施設等における簡易な応急措置―の二つ。
これを受け熊建協本部は、被災地域における支援活動に協力できる会員企業を調査・把握するため、会社名、代表者名、電話番号、FAX番号を記載した支援者リストを作成して21日までに協会事務局に提出するよう、支部・部会に通知した。
県から具体的な活動依頼はまだ無い(22日午前10時時点)というが、県管理の道路と河川をメーンに、これまでと同様、各支部が各社に割り当てている公共土木施設等への対応となるもよう。ただ被災地域を持つ支部は、一支部だけでの対応が難しいことも予想される。「第一義は地域の会員さんの対応」と熊建協本部は話すが、時間的な余裕が無い場合などは他地域からの応援を指示するものとみられている。
今回の災害支援活動においては当然、熊建協会員のほか、電気、管、専門工事、商社、コンサルタントなど建設産業に携わる様々な団体、企業が取り組んでいる。市町村や地域住民からの支援要請もあり、複数の対応を余儀なくされている業者も多い。各地で無数の家屋が倒壊などの被害を受け、ライフラインは寸断、避難者は今もなお9万人を超える。
自ら被災した建設業者も多く、避難所や車中から現場に向かい、ライフラインの確保や早期復旧、避難所支援などに懸命な作業を続けている。今もなお余震が続く中、最前線にいるのは地域建設業者だ。
提供:
西日本建設新聞社