梅本建設工業(南砺市野尻、梅本大輔社長)は、情報化施工の範囲を拡大し、精度の向上と職員の負担軽減に成果を上げている。
この取り組みは、北陸地方整備局富山河川国道事務所が発注した氷見市脇地先「能越道脇道路その7工事」で行われたもの。同工事は高規格道路のパーキングエリアの路体盛土。路体(築堤)盛土8万5500立方メートル、法面整形(盛土部)3240平方メートル、地盤改良工、土質改良8万5500立方メートル、法面工、排水構造物工などを施工した。
工事の監理技術者を務めた宮崎琢人工事部次長は、情報化施工の範囲を検討するにあたって、「施工時期が5月から8月の暑中期に重なったことから、職員の体力消耗が甚だしく、健康管理に充分な配慮が必要」と判断。従来のトータルステーションによる出来形管理、マシンコントロールブルドーザによる盛土材の敷均、マシンガイダンス振動ローラーによる締固め管理に加え、新たにマシンガイダンスバックホウの導入を決めた。
マシンガイダンスバックホウによる法面整形を併用したことにより、「身体的な負担がかかる丁張り設置などの手間が減る。熱中症を予防し、職員の健康管理が徹底できた。当然、盛土の出来形精度は高まり、品質の向上につながった」と胸を張る。具体的には、出来形規格値の50%以内を達成させた。
情報化施工を同社は、いち早く取り入れたという。「オペレーターが高齢化し、優れた感覚を持った職人は減る一方。ただ、ビギナーでもシステムを理解できれは、均一の品質が担保される」と建設業界が抱える入職者の減少、人材不足の解消に期待を寄せる。情報化施工は良いこと尽くめのようだが、今後の改善点を問うと「高度技術として加点されるが、その代わり多くの設備投資が必要になる」と話してくれた。情報化施工の普及には、さまざまな機器の歩掛かりの実態を調査し、施工単価に反映させていくことが課題となりそうだ。