石川県土木部公園緑地課は16年度、金沢城公園第3期整備計画として、鶴の丸広場一帯の再整備工事や黒門口周辺整備工事を新規着工するほか、鼠多門、鼠多門橋の復元に向けた埋蔵文化財調査および設計などに取り掛かる。当初予算に事業費8億546万6000円を計上した。
16年度に先行着工となる鶴の丸休憩所は、W造平屋建て約350平方メートルで、公園各所に散在している展示情報を一元的に発信する拠点とする。従来のパネルを中心とした展示方法は、出土品展示や映像を使った解説に改めたり、新たに金沢城に関する人物や生活文化にも焦点をあてる。また、菱櫓・五十間長屋を眺めながら快適にくつろげる空間を創出したり、人的サービスによる軽飲食の提供、金沢城に関する書籍販売―といった機能を追加する。建築設計は五井建築研究所、展示設計はシ・ピ・エルが担当。これに合わせて鶴の丸広場(0・4ヘクタール)を、建物との一体感がある小イベントに利用できるよう改良する。広場設計は国土開発センターが担当。休憩所、広場ともに16年度内に整備を終える。
また、観光客の利用が増加している黒門口周辺整備では、アルミ製の門扉を、風格のある木製に改良する。設計は国土開発センターが担当。
明治期に入って焼失したり、撤去されるまで金沢城玉泉院丸庭園と金谷出丸(かなやでまる)(現在の尾山神社)を結んでいた鼠多門橋および鼠多門(金沢城玉泉院丸庭園側に存在)は設計に入る。古写真や埋蔵文化財調査によると、鼠多門は石垣の上に2層の櫓(やぐら)が建っており、前面の幅が約23メートル、奥行きが約8メートル。鼠多門橋は橋長約29メートル、幅約5メートルの木橋。鼠多門橋は史実に沿って復元した場合、橋桁や橋脚が道路交通(金沢市道)の支障になるため、橋の両端で支持する構造となりそうだ。
このほか、明治5年ごろの絵図面が発見された二の丸御殿については16年度、第3期計画と併行して調査研究を進める。