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西日本建設新聞社
2016/04/21

【熊本】本紙コラム「大観望」

 4月14日と16日に発生した平成28年熊本地震。あのおぞましい夜から一週間が過ぎた。特に16日の本震は、大地が呻き声を上げているようで、生きた心地がしなかった。窓の外に目を向けると懐中電灯を頼りに逃げ惑う人々。部屋中には割れたグラスが散乱し、倒れた本棚が行く手を阻んだ。立て続けに襲う余震の中で、無我夢中で逃げ道を作り、妻と1歳の娘を連れて近くの避難所に身を寄せた▼「嘘であってほしいー」。熊本城の石垣の崩壊や阿蘇大橋の落橋、今にも倒壊しそうな宇土市庁舎など県内の各地の被害状況を写真や映像で見た瞬間、その思いは打ち砕かれた▼県内の交通網やライフラインは2度に渡る地震で大ダメージを受けた。しかしながら、建設業者を始め、自治体、自衛隊などが夜通しで復旧や食料の支援などを続けてくれていることは、本当に有難く、日本中に広がる支援の輪は絶望感から前向きになれるきっかけとなっている▼身を寄せている避難所では、余震に怯える我々をよそに、つかまり立ちしかしなかった娘が誰の手も借りずに立ち上がり、一歩づつ歩き出した。その姿に、ただただ涙した。(悠)

提供:西日本建設新聞社