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建設新聞社
2016/04/19

【東北・福島】トータルメディア開発研究所に委託 アーカイブ拠点施設の基本構想

 福島県は、東日本大震災および原子力災害の記録と教訓を伝える「アーカイブ拠点施設」の整備を計画し、基本構想策定業務に係る公募型プロポーザルの手続きを進めた結果、トータルメディア開発研究所(東京都千代田区)を委託者とした。
 企画提案書の提出者は同社のみ。審査は県の担当者によって行われ、4月1日の書類審査および、同5日のプレゼンテーション・ヒアリングでの総合評価点が基準点を満たしていたことから委託候補者とし、15日付で契約したもの。履行期間は約5カ月。
 県が主体となって整備する同施設は、浜通り地方の産業再生を目的として、ロボット産業の集積などを進めている福島国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想における国際産学連携拠点の一つに位置付けられている。このため、建設用地については、国・県が浜通り地方の双葉町と浪江町に整備を計画している震災復興祈念公園との併設も視野に入れながら現在、選定を進めている段階。
 基本構想は、アーカイブ拠点施設有識者有識者会議(会長=小沢喜人福島大学副学長)が施設機能・内容等を取りまとめた報告書を基に作成する。報告書によると、施設名を「ふるさとふくしま再生の歴史と未来館」(仮称)としたうえで、世界に類を見ない複合災害の経験を生かした防災・減災、復興を担う人材の育成等を基本理念としている。
 報告書では、「展示・交流エリア」「資料エリア」「研究エリア」の3エリアにロビーやショップなどを加えた施設構成を提案。「展示・交流エリア」には、シアターや多目的ホール、災害対応ロボットのデモンストレーションスベースなどを設け、国会図書館や日本原子力研究開発機構と連携して情報発信等を行っていく。「資料エリア」は、閲覧室、デジタルサーバースペースなどを設け、震災や放射能に関する出版物や報道映像などを収蔵する。さらに、学術的・論理的ベースとなる「研究エリア」は、国際会議やシンポジウムを想定した会議室、研究室など設ける。
 なお、施設規模は、基本構想および設計の中で具体化を図るが、2015年5月に開催した第3回有識者会議の中で県が、神戸市にある「阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター」を参考に、延べ1万2700平方bとする案を提示している。
 最短の工程で進めた場合の整備スケジュールは、16年度で基本構想策定および建設地の決定、17年度で基本・実施設計、18・19年度で本体工事を行い、20年の東京オリンピック前の供用を目指すものとなっている。

 提供:建設新聞社