金沢市は18日、JR金沢駅金沢港口(西口)の市有地に誘致を目指すインターナショナルブランドホテル事業で、開発事業者の選定に係る公募型プロポーザルの募集要項を公表した。提案受付にあたり、募集要項に関する説明会を28日午後2時から市企業局(広岡3丁目)の5階講堂で開催する。説明会の参加には事前申し込みが必要で、26日までに事務局/市都市政策局企画調整課(アドレスibh@city.kanazawa.lg.jp)へ電子メールで申し込むこと。提案書の受付期間は6月13日から17日まで(持参のみ)。その後、事務局による第1次審査(6月20〜24日 資格審査)、有識者で構成する審査委員会による第2次審査(7月4〜8日 プレゼンおよびヒアリング)を行い、優先交渉権者の決定は7月11日を予定している。
同事業は、北陸新幹線開業により首都圏はじめ海外からの来訪者が増え、4年後の東京五輪開催に向けて増大するインバウンド需要への対応も課題となる中、都市のステータスを高め、新たなランドマークとなる賑わい交流拠点として、国内外に幅広いネットワークを有し、外国人富裕層の来訪が期待できるインターナショナルブランドホテルを誘致するもの。
事業用地は広岡1丁目501番など計5筆で、敷地面積7423・74平方メートル。用途地域は商業地域、建ぺい率80%、容積率600%。高度地区(高さ)60メートルに指定。
応募者については、複数の法人で構成されるグループ、もしくは単独の法人(特別目的会社・SPCも可)とし、個人は認めないとしている。
参加資格は、▽提案する計画内容の施設建設や事業運営に必要な資金、信用を有する(直近の決算期末において債務超過でない、経常損益について直近の決算含み3年連続のマイナスでない)▽過去20年間(96年4月1日から16年3月31日)において、ホテル事業を含む不動産事業に係る業務実績を有する(構成員のうち1社)―ことなど。
事業条件によると、事業用地は敷地全体(7423・74平方メートル)、または敷地の一部のうち応募者が取得を希望する面積(最低譲渡面積4000平方メートル、位置を指定)で売却。譲渡単価は1平方メートル当たり30万5000円で固定し、競争・審査の対象としない。
また、敷地全体を一体的に有効活用するため、ホテルに加え、都市のステータスを高める新たな賑わい創出に資する民設・民営の施設を設ける提案も認める。ただし、応募者が敷地の一部のみの取得を希望した場合、それ以外の敷地で市が駐車場を整備する準備があり、その場合は応募者から意匠や整備手法、運営について民間活力を活かした提案を求める。提案事業の継続年数では、事業者はホテル開業後、20年以上はホテル事業を含め提案した事業を継続しなければならない。
建築物の整備条件に関し、デザインコンセプトでは、世界の「交流拠点都市」の核施設として、実現性が高く明確なホテル事業のコンセプトが提案されるとともに、駅西広場周辺のランドマークとなる金沢にふさわしい魅力の高いデザインコンセプトの提案を求める。景観関連では、まちの賑わいや楽しさを演出する照明環境の形成や、都市の魅力を高める創造性や演出性にあふれた品格のある夜間景観の形成を図ることなどが条件。
ホテルブランドに関する条件では、世界の交流拠点都市にふさわしい質と品格を有し、国際的なホテルの運営能力と実績を有するホテル運営会社が運営者となり、国際的な知名度と高い評価を得ているブランドとする。
ホテル施設の条件に関しては、客室面積が全室30平方メートル以上、レストラン1施設以上のほか、会議室やビジネスセンター、ジム等の付帯設備の設置が望ましいとしている。ホテルブランドの継続期間は開業後10年間を条件とする。
審査方法については、審査委員会による審査の上、最優秀提案および優秀提案を選定。その後、当該審査の結果に基づき、市が優先交渉権者および次点交渉者を決定する。審査委員会のメンバーは中島秀雄金沢商工会議所副会頭、福光松太郎金沢経済同友会副代表幹事、細田大造副市長、水野一郎金沢工業大学教授、矢ケ崎紀子東洋大学准教授(国土交通省国土審議会特別委員)の5氏。
第2次審査における審査項目は、▽施設品質・配置(施設品質および景観、施設配置)▽ホテル運営計画(ホテルブランド、施設構成、ホテルコンセプト、インバウンドの推進など)▽開発主体・開発計画(開発主体の実績と体制等、開発計画の具体性、実現可能性)▽新たな賑わい創出(都市のステータスを高めるための新たな賑わい創出に向けた提案、立体駐車場の提案)▽取得面積(最低取得面積4000平方メートル、取得面積÷事業用地全体の面積×10点など)―に関する5事項。
事業スケジュールによると、7月11日(予定)に市が優先交渉権者を決定した後、8月10日(同)に市有財産売買仮契約を締結し、直近の市議会の議決をもって本契約成立となる。
その後、事業者は今年夏から来年夏にかけてホテル基本・実施設計に着手。来年夏の建築確認取得、土地の引渡し後、19年秋までの2カ年で建設工事を進め、19年度末のホテル開業を目指す。