東京都都市整備局は、民間事業者とともに進める神宮外苑地区と北青山三丁目地区のまちづくりで、都営住宅の建て替えや、民活区域に進出する民間事業者の公募手続き、土地区画整理事業に2016年度に着手する。これに先立ち、2地区を再開発促進区に位置付け、地区計画を設定することで事業の環境を整える。
神宮外苑地区では、国立(霞ケ丘)競技場の建て替えを契機に、新宿区と港区にまたがる同地区一帯の再整備を進めていくため13年6月に地区計画を決定。15年4月には都と地権者である明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、高度技術社会推進協会、伊藤忠商事、日本オラクル、三井不動産がまちづくりの方向について合意し、覚書を締結した。
都は国立競技場南側の約2・8fの区域を対象とする「新宿区霞ケ丘町付近土地区画整理事業」に16年度に着手し、立体都市公園や、神宮外苑地区の再整備に伴って形成する歩行者ネットワークの用地を確保する。また、20年オリンピック・パラリンピック競技大会の終了後、民間事業者などが秩父宮ラグビー場やテニスコートのある場所に新たな野球場を建設。完成後に神宮球場を取り壊し、跡地に新たなラグビー場を配置するなど、大規模スポーツ施設を中心としたさまざまな施設の集積を進めていく。
これら事業の実施に先立って現在の地区計画を変更し、外苑駅前と新国立競技場を結ぶバリアフリールートや広場・緑道の整備を位置付けるとともに、既存住宅の更新を通じてにぎわい・交流機能を導入する方針を盛り込む。
一方、北青山三丁目地区では、老朽化した都営青山北町アパート(港区)の建て替えによって約3fの用地を創出し、ここに質の高い民間開発を誘導することで、青山通りと一体的なまちづくりを進める。
全体で約4fある敷地を3分割し、敷地の南側の区域約1fを都営住宅の整備区域に充てる。鉄筋コンクリート造20階建て1棟の高層住宅を新築し、保育園・児童館を合築して低層階に設け、その上に約300戸の住宅を配置する。16年度中に着工する考えだ。
まちづくりを誘導するのは、団地建て替え用地の北側に接する「定期借地制度を活用する民活事業区域」(約0・8f)と、その北側の「業商複合ゾーン(沿道一体型開発検討区域)」(約1・8f)の二つの区域。このうち定期借地制度を利用した民活区域での事業を先行して実施する。6月に募集要項を公表して10月ごろ事業者を選定する。
それぞれの事業着手の前に、国道246号などを含む5・9fの区域に新たに地区計画を定め、3カ所に分ける地区区分と地区内道路、歩行者通路の整備などを位置付ける。
提供/建通新聞社