国土交通省木津川上流河川事務所は、2016年度の事業計画を明らかにした。16年度の事業費は、総額が15億1390万円。内訳は河川整備事業に11億4290万円、砂防事業に3億6100万円、総合流域防災対策事業に1000万円。
事業別の内容は次の通り。
〈河川事業〉
河川整備では、河川改修に5億9300万円、河川維持修繕に5億4990万円を投入する。
河川改修事業のうち、上野遊水地では、服部川に架かる新居橋整備(伊賀市東高倉地先)について、三重県と連携して取り付け道路の整備や同川の河道掘削に着手する。新居橋の橋梁形式は5径間で、鋼材は約302d。
上野遊水地は、1953年の13号台風などで大規模な浸水被害を受けた上野地区の浸水対策のために、洪水の一部を四つの遊水地(長田、木興、小田、新居)で一時的に貯留させ、流量調節機能の確保と伊賀市周辺の治水対策を目的に国が計画し、69年に事業着手したもの。遊水地の運用を開始後も河道掘削などの浸水対策を継続する。
三田地区では、13年の台風18号で大規模な浸水被害を受けたことから、浸水対策を実施しており、服部川右岸堤防の引き堤について用地取得を継続し、用地取得状況を見ながら可能な箇所から築堤工事を実施する予定。
名張地区では、河道内の樹林伐採や河道掘削を行う。
河川維持修繕では、堤防の除草や修繕工事のほか直轄管理樋門・樋管、排水門4カ所、排水機場1カ所、集中管理センター1カ所の操作点検修繕などを行う。上野遊水地集中管理システムの更新については14年度から3カ年で事業を進めている。
堤防の除草で発生した刈り草については、「刈草ロール」とし一般に提供し、堆肥などへの利用を図る。
〈砂防事業〉
砂防事業では、荒廃が著しく下流に災害時における避難所がある渓流で重点的に砂防堰(えん)堤工事を行っており、16年度は、伊賀市伊勢地地内の堰堤補修や名張市安部田地内、奈良県宇陀市室生大野地内で堰堤の設計に着手する。
〈総合流域防災対策〉
総合流域防災対策として、気候変化などを要因とした流域状況変化の影響による水害・土砂災害の激化・頻発に対し、流域一帯における危機管理対応を中心とした適応策を検討する。16年度は、土砂災害警戒情報伝達支援について検討する。
提供:
建通新聞社