国土交通省は、浦戸湾の三重防護により地震や津波の被害を軽減させる「高知港海岸湾口・浦戸湾地区直轄海岸保全施設整備事業」を2016年度の新規事業として採択した。概算の総事業費は約600億円で、うち直轄は約350億円を見込む。31年度までの16カ年で堤防などの耐震化やかさ上げなどを進め、浦戸湾の湾口部に津波防波堤も設置する計画だ。16年度は2億1000万円の事業費を配分、実施設計、用地測量、土質調査を高知港湾・空港整備事務所から外注する。
浦戸湾の三重防護は、▽高知新港の防波堤整備と粘り強い化▽浦戸湾外縁部と湾口部の防波堤や防潮堤整備▽浦戸湾内部護岸などの改良や補強−と三重に防護することで、地震による堤防などの沈下や倒壊を防ぎ、津波に対して背後地を守る事業。すでに高知新港の防波堤整備は順次進められている。
今回新規採択を受けたのは、湾口地区と浦戸湾地区が対象。このうち浦戸湾の外縁部や湾口部のいわゆる「第二ライン」、石油基地が立ち並ぶタナスカ地区、仁井田の木材団地周辺、長浜の臨海工業団地周辺など高度な技術を要する区間を国直轄で行い、それ以外の区間は県が施工する。
16年度は予算の範囲内でまず土質調査2件を6月までに外注する。1件は簡易公募型競争、もう1件は簡易公募型プロポーザル方式となる予定。調査対象は、タナスカ付近と高知新港付近を見込む。実施設計は第2四半期の外注を予定、高知新港周辺を対象とした実施設計と施工計画を検討する。用地測量は3件を第2四半期に外注する予定で、予算の範囲内でできるところまで進めていく。
土質調査や実施設計の結果を踏まえ、具体的な工法を決めていく。地盤が弱いと見込まれている箇所もあるため、そういった箇所は地盤改良を行い、経済性も考慮した工法を採用する計画。
同事務所では、今後も予算状況に応じて測量や設計を外注し、できるだけ早期に着工できるよう準備を進める。
提供:建通新聞社