大阪府は、府有施設の長寿命化、総量最適化・有効活用に向けたファシリティマネジメントを進めるため、2016年度から建物調査診断に乗り出す。18年度までの3カ年に分けて調査を実施し、改修などの優先度を整理した上で、中長期保全計画を策定する考えだ。
建物調査診断は、建物劣化度調査と建物コンクリート中性化度調査を実施する。建物劣化度調査は、府営住宅を除く延べ床面積1000平方b以上の棟が対象。16年度は185棟を予定し、建物外装や機能維持に必要な設備の劣化度を調査・診断する。また、調査を通じ各建物の仕様や利用状況に応じた中長期保全計画策定を支援する。3カ年の全体調査棟数は848棟。
建物コンクリート中性化度調査は、延べ床面積1000平方b以上の棟のうち、築後49年目の棟の各階を対象に実施する(府営住宅除く)。16年度は443階分が対象で、16年度実施分は既に50年を経過するものや49年に満たない棟も含まれる。調査内容は、建物躯体のコンクリート中性化度と圧縮強度など。3カ年の全体では570階分を調査する。
府の管理する施設は、庁舎や警察施設、府営住宅、学校などで、施設総数は1761施設、延べ床面積の合計は約1322万平方b。施設数では、警察施設45%、府営住宅が18%を占め、延べ床面積では、府営住宅63%、学校が19%を占めている。今後10年間で築後50年を超える施設の延べ床面積は全体の約4割。
15年9月にまとめた、ファシリティマネジメント基本方針案では、建物更新の目安を築後70年以上とできるよう、施設長寿命化、新規施設整備抑制を通じて、有効活用と施設総量の最適化を目指す方針を打ち出している。
建物調査・診断の結果は、財務部財産活用課が施設保全情報を集約、部局横断組織としてファシリティマネジメント推進会議を設置して調整する考え。
提供:建通新聞社