建設新聞社
2016/04/12
【東北】目標は死亡災害ゼロ、事故件数半減/16年度の工事事故防止対策 /東北整備局
東北地方整備局は、2015年度に工事事故が多発したことを重くみて、16年度に工事事故防止対策を強化することを決めた。死亡災害ゼロ、工事事故件数の前年度比半減を目標に掲げ、全受注者が工事ごとの現場特例に応じた重点対策・月別強化対策を定めることとするほか、元請け・下請けの幹部による合同点検を実施するよう協力を要請する。女性による現場パトロールも積極的に進めていく。こうした方針を11日に開いた管内事務所長会議で示した。
15年度に発生した東北整備局管内での工事事故(休業4日未満を含む)は133件と、前年度の76件に比べ約1・8倍に増加した。特に被災3県では、岩手・宮城が各38件、福島が23件と全体の4分の3を占めている。死亡者数も前年度の2人から3人へと増えた。
原因別に見ると、資機材などによる手足の「挟まれ」が17件で最も多く、「飛来・落下」13件、「墜落・転落」11件、「その他(自損災害)」11件などの順となった。
こうした状況を受け東北整備局は、16年度の目標として死亡災害ゼロ、工事事故件数の前年度比半減を設定した上で、事故防止対策を推進することを決めた。
新たな取り組みとして、前年度に多く発生した事故形態と同様の事故発生を防止するため、全受注者が工事ごとの現場特性に応じた重点対策・月別強化対策を定めることとした。また、各工事の施工体系に関わる元請け・下請全社の幹部による合同点検の実施を要請。元請けは支社長・支店長クラス、下請けは社長が自社の工事現場を点検し、事故防止と安全意識の向上を目指す。
日本建設業連合会、東北建設業協会連合会、日本橋梁建設協会、プレストレスト・コンクリート建設業協会、日本道路協会、建設コンサルタンツ協会、東北地質調査業協会など元請けが加盟する業団体による現場点検も継続・強化する。女性ならではのきめ細かい目線で工事現場の危険の目を摘み取るとともに、作業環境改善に生かすため、主要現場で官民の女性職員による現場パトロールも実施する。
16年度の事故防止重点対策では、15年度に多発した事故を防止する観点から、トンネル工事事故防止、挟まれ災害防止、路上工事事故防止を重点項目に位置付けた。また、墜落・転落災害の防止、架空線損傷事故の防止、埋設物等公衆物損事故の防止、交通災害の防止にも引き続き取り組んでいく。
さらに15年度は、発動・発電機や重機、バッテリーなど大型の資機材の盗難件数が25件発生したことから、資機材盗難の防犯対策も新たに盛り込んだ。
外業を伴う測量・調査・業務も重点対策の対象に含まれる。
提供:建設新聞社