日刊建設工業新聞
2016/03/30
【鳥取】県「公共施設等総合管理計画」を策定
平井伸治知事は29日、県内の公共建築物・土木インフラを長期的な視点でマネジメントする「県公共施設等総合管理計画」を策定したと発表した。今後40年間に必要な改修・更新費は1兆1443億円。年平均286億円の事業費が必要になると推計。計画の策定によって長寿命化と効率的な更新、統廃合を推進して財政への負担を軽減する。
総合管理計画は長寿命化対策に必要な将来費用を算定し、今後の管理計画の指針となるもの。高度経済成長期を中心に造られたインフラは一斉に更新時期を迎え、財政負担の急増が予想される。
基本方針は「インフラ機能の維持・確保の適正化」。計画期間は2016年度から25年度までの10年間。対象は県が保有する庁舎、学校などの公共建築物、道路・河川などの土木インフラ。
公共建築物は今後40年間に必要な改修・更新費は5533億円。年平均138億円の予算が必要と試算。32年ごろまでは現状の予算規模(15年度97億円)で推移するが、33年ごろからは県立学校の更新で増加傾向に転じ、40年ごろにピークを迎える。このため30年代以降を見据えた統廃合や維持管理費の抑制が迫られる。
一方、土木インフラは、40年間の維持管理・更新費が5910億円で、年平均147億円が必要と推計。今後、現状予算(14年度143億円)から徐々に増加し、特に40年代にはトンネル、ダムなどの更新費用が一時的に急増する。
29日の定例会見で平井知事は「計画は言わばラフスケッチ(概略図)。今後、いかにPDCAサイクルを回すのかが大事」と述べ、部局横断の対策本部を設置して実効性を高めていく考えを示した。
インフラ長寿命化計画策定
公共施設等総合管理計画に併せて、県は29日「インフラ長寿命化計画(行動計画)」を策定した。総合管理計画の下部に位置付け、維持管理費や修繕・更新費の縮減と平準化を具体化させる。
計画対象は、道路、河川、海岸、港湾などすべての土木インフラ。施策は▽メンテナンスサイクルの構築▽財政負担の縮減、平準化と適正な財源の確保▽適切な維持管理体制の整備−の3本柱を据えた。
具体的には点検・診断の実施、個別施設の長寿命化計画の策定、統廃合の検討などを進めるほか、国・市町村とも広域的に連携して適切な維持管理体制を構築する。
県技術企画課は「建築物と違って、土木インフラは統廃合が難しい部分がある」としつつ、人口減少などを踏まえ「アイ・コンストラクション(i−Construction=情報通信技術を活用した生産性向上の取り組み)関連の技術など、効率性を高めた維持管理を行うことも必要になる」と話している。