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建設新聞社(長崎)
2016/03/28

【長崎】海洋エネルギーで地元産学官が連携協力

県・長大・総科大・クラスター協議会が協定締結
  『海洋未来イノベーション機構』 『海洋エネルギー研究センター』設置
握手する4団体の代表(左から坂井理事長、中村知事、片峰学長、木下学長)
 県と長崎大学、長崎総合科学大学、NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会は23日、「海洋エネルギー関連分野における地元産学官の連携協力に関する協定」を締結した。長大が『海洋未来イノベーション機構』(仮称)、総科大が『海洋エネルギー研究センター』(仮称)を設置するなど、海洋エネルギー産業の拠点形成に向けた連携を具体化・強化する。
 協定締結式の冒頭、中村法道知事は、県が国からながさき海洋・環境産業拠点特区≠竍海洋再生可能エネルギー実証フィールド≠フ指定を受けていることに触れ「海洋県・離島県である本県は、海洋再生可能エネルギー分野で高いポテンシャルに恵まれている」と話した。そして、地元の産業界や大学でも取り組みが進んでいるとし、「実証フィールドを主要拠点としながら、本県の産学官が連携を強化して新産業創出を進めるとともに、海洋エネルギー産業の拠点形成を目指して力を合わせることにした」と、今回の協定書締結の意義を説明した。

  海洋再生エネ時代到来 列車に乗り遅れるな

 総科大学の木下健学長は、海外で再生可能エネルギーが主流になりつつあるとした上で「20年後は海洋エネルギーが中心になる。日本は最後の列車に乗り遅れないためのチケットをやっと買う段階。列車に乗らなければ、何兆円もの化石燃料を輸入している現在同様、何兆円もの再生エネルギーを買わなければならなくなる」と主張。そのために「再生可能エネルギー関連の人材育成・基礎研究と、地域(県)の本気のサポート、地元産業が潤い・雇用できる体制づくりが不可欠」と述べ、この実現を目指す今回の協定を『理想的な形』と評価した。
 協定によって4団体は、海洋エネルギー関連分野に係る研究開発・人材育成・新事業の創出はじめ、目的達成に必要な事項について連携・協力していく。
 各団体の具体的な取り組みを見ると、長大は16年度に、工学研究科と水産・環境科学総合研究科を融合した「海洋未来イノベーション機構」を設置。環境保護・再生型の海洋エネルギー開発や、生物資源の保護・再生・利用への海洋エネルギー活用を目指す。ここでは、海洋構造物の設計など海洋土木分野の研究も含まれる。「オープンシステムとして、さまざまな研究者・技術者が集う地域のプラットフォームを目指したい」(片峰茂学長)。
 総科大の海洋エネルギー研究センターは、造船・海洋工学分野の実績を生かしたケーブル敷設やメンテナンスなど実用化促進に向けた総合システム工学を研究。「きょうから発足する」(木下学長)。
 クラスター協議会は、県内企業が新たな海洋産業分野に進出し、サプライチェーンを構築する取り組みを支援。「これまでは学びの場≠セったが、今後は実際のビジネスモデルを見据えた取り組みをしていく」(坂井俊之理事長)。
 県は、『海洋エネルギー産業拠点形成連携会議』を開催。外部有識者からの知見・アドバイスを受けながら今後の方向性や具体的な取り組みを検討する。

  実証フィールド構築へ 16年度は準備期間
実証フィールドを核にした研究拠点形成
 県では、各者の取り組み状況を踏まえながら、早期の実証フィールド構築に向けて、17年度には運営主体を決めたい考えだ。「16年度はそのための準備期間」(中村知事)としている。
 実証フィールドを核にした地域の研究拠点を形成するため、16年度に県が事務局となって『コーディネーター組織』を設置。協定締結4団体のほか、佐世保工業高等専門学校や金融機関も加わり、実証フィールドへの誘致案件の技術的課題を検討。また、国内外の研究機関・企業との連携ネットワークを構築し、外部資金や人材・情報を長崎に呼び込むことを目指す。ksrogo