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建設経済新聞社
2016/03/23

【京都】醒泉・淳風統合小の新校舎等 プロポで佐藤総合計画を選定 中庭挟んだ寄り添う2棟提案

 京都市都市計画局は22日、公募型プロポーザルで選定の「醒泉・淳風統合小学校施設整備事業設計業務委託ただし、建築及び設備基本設計・実施設計業務委託」について、受託候補者として佐藤総合計画関西事務所(大阪市中央区)を選定したことを明らかにした。基本計画も同社が担当していた。
 公募型プロポには阿波設計事務所京都支店、浦辺設計、共同設計京都事務所、佐藤総合計画関西事務所の4者が参加。144・7点(200点満点)を獲得した佐藤総合計画関西事務所を3月15日に選定した。
 同社の提案によると、統合小は元番組小学校である醒泉・淳風それぞれの歴史や伝統を継承しながら、職住共存の町並みと調和した「地域と共にある下京の学び舎」とし、外観は統合の象徴として中庭「醒泉淳風ノ辻子(ずし)」を挟んで2つの棟が寄り添うようなデザインとし、伝統と未来性を感じさせる新たな小学校を提案した。
 「辻子」に沿った昇降口、地域交流室、ホール、ランチルーム、和室(茶室)・水屋といった活動がにじみ出る開口部デザインを格子形態の変化で表現する。
 醒ヶ井通は開発非該当の設計手法による正門のイメージ保存と名水「佐女牛井(醒ヶ井)」にちなんだ泉の庭・お茶室づくり、油小路通は町家の家並を連続させる低層下屋デザインとサクラ並木の保存、万寿寺通は既存グリーンベルトを生かした意匠塀でのグラウンド砂埃対策及びかつて仏具屋、染物屋が建ち並んだ通りを思わせる格子デザイン、堀川通は学校の顔となる印象的な外観とする。
 校区が拡大しても西側正門配置を踏襲。淳風小のふれあい図書コーナーからの登下校を昇降口で再現する。地域の心象風景としてのサクラを大切に残す。醒泉小で大切にされているイチョウの木を移植保存するだけでなく、本物の葉を型押ししたレリールタイルをデザインし、建物のアクセントやサインとして採用することで記憶を受け継ぐ。区民の誇りでもある淳風小のオリーブの木を統合校に移植する。ランチルームは醒泉小のふれあいサロンの格天井を思わせるデザインとし、幼稚園生との給食交流会でも賑わいの場とする。
 正門〜体育館棟ピロティは登下校時のための広々空間を演出。地域交流室は格子をはずせば外部空間と一体となる地域活動の拠点(地蔵盆の格子戸)とする。坪庭のあるランチルームは南向きの明るい食事スペースを計画する。情報お知らせ板ウォールは給食室の壁を利用し、情報・展示スペースとする。お茶室と水屋カフェはバッタリ床几のある地域の交流・見守りの場とする。
 植栽は既存樹木の保存・移植を基本とし新植は植樹イベントを行うなど、教育活動・地域活動と連携するとともに、初期コストの削減を図る。幼稚園との連携をより緊密にするため、小学校と幼稚園の両職員室を外部通路でつなぐ。グラウンドの面積を最大限確保するため、幼稚園園庭との境界を緩やかに行い相互活用を図る。また校舎棟南側には庇つきのデッキスペースを設けイベント時の活動スペースや観覧席として利用できるようにする。地域に配慮した工事車両動線を確保し、堀川通からの搬出入を計画する。
 醒泉小、幼稚園の理科園をビオトープ空間として辻子に採り入れる。植物や水生生物の形態・生態を観察できる「学びノ辻子」とする。
 醒ヶ井を想起する泉と四季折々の植物による泉の庭を計画。正門、東門はスライド式の二重格子「風の門」とし、気候に応じて開閉することで辻子に流れる風をコントロールする。
 屋根・屋上面の外断熱化と勾配屋根の高低差を利用した排気システムで空調エネルギーの低減を図る。反射板を備えた庇や蔀戸を採用することで夏場の強い日差しを遮る。常緑樹の大木を植栽し、涼しげな木陰を創出する。
 冬場の日差しを中庭空間に取り込むため集光装置を採用。反射板により教室内の採光を十分確保する計画とする。校舎棟北面はLow−E複層ガラスとし、高断熱化を図る。山茶花や梅、千両・万両など冬場に花や実をつける樹種を植栽し、一年を通じて彩りある泉の庭とする。
 京都市公共建築物低炭素仕様の原則導入技術に加え、特に教育効果の高い技術を積極的に採用。京都市公共建築物低炭素性能向上20%(22年度比)の+3%を目標とする。
 天井の設計方針の提案によると、直天井部分に吸音材を直貼りする。空調・照明設備配置ゾーンとして一部吊天井とする。空調・照明器具の適正配置と小梁露出の課題解決を図る。テクニカル格子内には全熱交換器を設置し、中庭側から取り入れた新鮮な空気を熱交換して廊下へパスし、トイレ等から排気する。一般的な京都市の学校建築階高4000に対して3800とする。その際の注意点としてメイン幹線ルートとなる廊下天井内の有効寸法を確保する計画とする。全体高さが抑えられることで町並み景観との調和を図る。
 比較検討の結果、架構形式は在来RC構法、空調機の配置は天井カセット形とした。
 佐藤総合計画関西事務所が提出した設計業務受託見積金額は1億円(税抜)。
 プロポ公告時の内容によると、概算予定価格は1億1190万円(税抜)。履行期間は29年8月31日。
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 統合計画によると、元格致小を改修工事をした上で一時活用し29年4月に暫定的に醒泉・淳風の2小学校を統合。29年度に醒泉小の校舎等を解体撤去、29〜30年度に埋蔵文化財調査、30〜31年度に新校舎や幼稚園舎等の新築工事、31〜32年度にグラウンド整備工事を行う予定。
 今回委託する業務は、@統合小学校の新校舎及び幼稚園舎(RC造一部SRC造4階建、延約8000u(建築面積約2900u))の新築に係る基本設計及び実施設計、A醒泉小学校の既存校舎等(校舎RC造3階建、延約3400u、屋内運動場SRC造平屋建、約580u、その他付属施設S造・CB造平屋建、計約650uの合計約4630u)の解体に係る実施設計。