i‐Constructionの推進方針の策定や、建設現場の生産性向上の取り組みについて強力に推進することを目的に14日、「四国地方整備局i‐Construction推進本部会議」(本部長・四国地方整備局長)が立ち上がった(写真)。同日付で幹事会(幹事長・企画部長)も動き出し、2016年度を「生産性革命元年」と位置付けた国土交通省本省の「i‐Construction」に呼応した。同推進本部会議ではICT技術の全面的な活用や規格の標準化、施工時期の平準化の三つの柱の下に、調査・設計から施工・検査、さらには維持管理・更新までのプロセス全体の最適化を目指す。4月末までに「四国地整i‐Construction」の具体策を取りまとめ、16年度に3次元出来形管理(土工)の事務所や若手技術者、技術系職員向けの説明会などで導入方針の説明や基準類、積算方法などを周知徹底する。また、地方公共団体や建設業界に説明会や講習会、i‐Construction採用型工事の現場見学会の実施などを通じて普及活動の促進や職員の意識改革を狙う。
14日の初会合で石橋良啓局長は「建設産業においては特に高齢化が進み、若手入職者の減少と相まって、より一層、建設産業に携わる技術者と技能労働者の減少が予測されており、今後、建設業の生産性向上は避けられない課題」と現状を示した。その上で社会全体の生産性を上げる側面(インフラ整備によるストック効果)と共に、「もうひとつの側面である建設分野の現場における生産性の向上を推進し魅力ある建設現場をつくることが『i‐Construction』が目指すものだ」と強調した。
三つの柱のうちICT技術の全面的な活用では、測量・設計から施工・検査、さらに維持管理・更新までの全てのプロセスでICT技術を導入する。例えば、土工でドローン等による3次元測量を実施。同データを使い設計・施工計画に落としICT建設機械を自動制御し建設現場でネットワークにつなげる環境にする。検査もドローン等による3次元測量を活用し検査項目を半減する効果が期待できる。
規格の標準化では効率的な工法による省力化、工期短縮に期待する。寸法等の規格の標準化された部材を拡大。例えば鉄筋のプレハブ化や型枠のプレキャスト化による現場打ちの効率化や各部材の規格の標準化によるプレキャストの進化を推進する。
取り組み方針で16・17年度にプレハブ化等や鉄筋の配筋等、規格の標準化を念頭に置いたガイドラインの作成。中期的には全体最適のための規格の標準化や設計手法の在り方を検討する。さらに、工期短縮などの効果の評価手法にも取り組む考えだ。
施工時期の平準化では2カ年国債の適正な設定や必要に応じた繰越制度の活用により年間を通じた工事件数を平準化する。地方自治体には発注者協議会等を通じて地方自治体の取り組みを支援するとしている。
i‐Constructionが目指すのは▽一人一人の生産性を向上させ企業の経営環境を改善▽建設現場に携わる賃金の水準向上で魅力ある建設現場▽死亡事故ゼロを目指し安全性を飛躍的に向上させること。これまで四国地整では、情報化施工(14年度の一般化技術については1万d以上の土工でTS出来形で93%の活用率)のほか、CIM(※)について地盤改良設計、橋梁予備・詳細設計、ダム・トンネル設計や地盤改良工事と橋梁上部工事で試行しており、引き続き取り組みを推進、発展させる。
※CIM=計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入し、その後の施工、維持管理の各段階でも3次元モデルに連携・発展させ、事業全体にわたる関係者間で情報を共有することで一連の生産システムの効率化と高度化を図る。
提供:建通新聞社