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奈良県十津川村の猿飼橋を対象に実施された、近畿初となる直轄診断の結果報告が、同橋を所管する十津川村に対してあった。同橋については、「防食機能（塗装）の劣化が見られたものの、緊急的に補強が必要になるような亀裂はなかった」とされた。同村は今後、交付金や国による修繕代行の活用を視野に、塗装塗り替えを検討していくとしている。
　直轄診断は、技術系の職員不足に悩む地方公共団体への支援策の一つ。自治体からの要請に応じ、橋梁メンテナンスなど緊急度の高いものを国土交通省が選定し、同省の各整備局、国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人土木研究所の職員で構成する「道路メンテナンス技術集団」を派遣。自治体に代わり診断を行う。２０１４年度から行われており、全国で６度の実績がある。
　今回の直轄診断に当たっては、国交省本省で募集を行い、応募のあった３件（いずれも奈良県の自治体）の中から選定した。
　猿飼橋は１９７４年に完成した橋長１３８�b、幅員４�bの鋼ランガー桁橋。林道平谷竹筒線として村内平谷に架かっている。前回の塗装塗り替えから28年が経過し、防食機能の劣化が見られた。また、古いタイプの高力ボルト（Ｆ−11Ｔ）が使用されており、「現時点で問題はないが、遅れ破壊（破断）が起こる可能性もある」と報告。今後の点検のポイントに挙げた。
　直轄診断について近畿地方整備局の担当者は、「本年度と同様の募集を行うかどうかは未定だが、２０１６年度も引き続き、要請を受け付けていく」としている。十津川村に対する報告は３月９日に同村役場で行われた。

提供：建通新聞社