日本工業経済新聞社(群馬)
2016/03/14
【群馬】太田市、公共施設整備の基本方針を作成
太田市は、将来的な公共施設整備の方針となる公共施設等総合管理計画の素案をまとめた。庁舎や行政センター、公営住宅、教育施設などの市有建築物のほか、道路や橋梁、下水道といったインフラ施設まで含む計画となっており、将来人口をにらみ、各分野の長寿命化計画を作り更新費用の縮減を図る。市有建築物については、未耐震のスポーツ施設を対象に2020年度までの耐震化率100%を目指す。
太田市は、人口低減社会や少子高齢化を見据え、13年度から公共施設の総量や状況、将来的な費用などを調べ、計画策定を進めていた。建築物は524施設1509棟、総延べ床面積85万9208uに上り、道路は総延長256万3316m(改良率62・8%)、下水道は総延長75万519m、施設数22カ所となっている。
同市が総務省が提供する「更新費用試算ソフト」を使い、今後40年間の市有建築物の将来更新費を計算したところ、年間83・8億円が必要という結果が出た。市民会館などの大型建築物の工事を実施してきた直近5年間の平均整備費が68・9億円であり、それと比較しても高額となっている。特に、29年ごろから建て替え施設の増加が予測されている。
これについて市は、市有建築物の多くを占める小中学校などの教育施設を対象に16年度中に長寿命化計画を策定する考え。全施設で耐震化を完了していることから、今後の大規模改修時には可能な限り構造壁を残し、工事費用を抑える姿勢。また、学校規模適正化のための研究を進める考えで、太田東小や北中といった生徒数の少ない学校では、統廃合も検討していく見通し。
市有の社会スポーツ施設では、運動公園陸上競技場、同野球場、尾島体育館、尾島第二体育館の4施設が未耐震。このうち、野球場は大規模改修の設計に着手しているほか、尾島体育館の耐震化も新年度から設計に取り掛かる。また清水聖義市長は、陸上競技場の改修も19年のラグビーワールドカップまでに行う意向を示す。公営住宅は、現在実施中の鳥之郷市営住宅建て替え後、三島団地に着手する。その際、同団地に大原市営住宅を統合させる。
道路は、同ソフトの算出結果で年間42億円の更新費見込みがあり、直近5年間平均費用の5・1億円を大きく上回った。そのため、舗装や大型構造物などを対象に16年度から長寿命化計画を作成していく。
橋梁は道路とは別で算出したところ、年間3億円の費用が必要となる。これは内ケ島跨線橋と浜西跨線橋の2橋が架け替えとなった場合、それぞれに約17億円かかるため。策定済みの橋梁長寿命化修繕計画に従い、補修対策に取り組み維持管理費を縮減していく。
下水道は、これまでも直近5年間平均で13・5億円を投じてきたが、ソフトの算出結果では今後も年間15・1億円が必要。今後見込まれる大規模改修として、21年度ごろの中央第2浄化センター、27年度ごろの中央第1浄化センターの費用が大きく、管路も含めた長寿命化計画をこれから策定し、改築費の平準化を図る。