大阪市は2016年度、南海トラフ巨大地震対策に伴う橋梁・トンネルの耐震対策で、南港ポートタウン線(南港PT線)や咲洲トンネル(咲洲TN)の詳細検討などのほか、千舟橋などで津波対策工事を進める考えだ。
南港PT線と咲洲TNは地震動対策での詳細検討。南港PT線は、標準区間以外の異形区間延長1・2`を対象に、検討業務を委託する。同線の全体区間は8・5`(咲洲トンネル部除く)。このうち標準区間はトレードセンター前駅〜住之江公園駅の標準的な高架部延長7・3`で、構造は鉄筋コンクリート造。15年度に実施した概略検討で標準区間の安全性を確認したが、異形区間で詳細検討が必要となった。
15年度業務は、標準区間が東洋技研コンサルタント(大阪市淀川区)、異形区間は中央復建コンサルタンツ(大阪市東淀川区)が担当。
咲洲TNは全体延長1・7`のうち、アプローチ部0・7`の詳細検討を実施する。14年度の概略検討で沈埋部の安全性は確認済み、アプローチ部では詳細検討が必要になったため、15年度に検討手法を精査していた。
橋梁では、津波対策に向けた工事2橋と設計2橋を進める計画。工事は千舟橋(橋長65・8b、5径間)と大運橋(同58・3b、3径間)が対象。また、深里橋と両島橋では詳細設計を進める。
対策工は、津波による橋桁の浮き上がりや流出を防ぐため、上下方向へのワイヤー接続または突起物設置で、橋脚と橋桁の補強を実施。16年度発注予定の2橋の補強方法は最終決定していないと担当者は話す。
市で津波対策が必要な橋梁は12橋ある。15年度から対策に着手、先の2橋のほか大船橋(橋長117・3`、7径間)、住之江大橋(同46b、1径間)、岩ア橋(同75・6b。4径間)の全5橋について実施設計を作成中。20年度までの対策完了を目指す。
提供:建通新聞社