来年度に調査設計 順調なら18年度中にも着工 県は、県立大学佐世保校の施設のうち、本館・管理棟など老朽化している5棟を建て替える方針。来年度に測量・調査を進めて、基本設計にも着手する計画で、2016年度当初予算案に8631万1000円を計上している。設計などが順調に進めば18年度中に着工する見通しだ。
中村法道知事は、2月29日の県議会で佐世保校の建て替えについて「施設の老朽化が進み、なるべく早い時期に着手したいと考えていたが、厳しい財政状況に加え、建て替えの前提となる学部学科再編の検討に時間を要した」とこれまでの経緯を説明。学部学科については、本年4月から現在の3学部7学科を5学部9学科に再編することが決定。昨年3月には学部学科再編に対応した新たな機能を盛り込んだ『佐世保校キャンパス整備基本構想』も策定されている。知事はこれらに触れ「大学側の建て替えに関する環境も整った」と述べた上で、「県立大学は今後地方創生を進める上で地域を支える人材の育成≠ニいう重要な役割を果たさなければならない。そのためにも学部学科再編の効果を高める必要がある」と、建て替えを決断した理由を話した。自由民主党・活正の会の溝口芙美雄議員の一般質問に答弁したもの。
事業費は最大65億円 ローリング方式で整備 建て替え事業の規模やスケジュールの質問には上田裕司総務部長が答弁。上田部長は事業費について、基本構想を基に「最大65億円が見込まれている」としたものの、今後精査していくことも付け加えた。スケジュールは、来年度に「精査・検討と併せて、敷地の測量調査を行った後、基本設計に着手したい」と述べた上で、「調査・設計に3年弱、その後の建築工事は、現在地での授業と並行した順次建て替えということもあり、財政状況を踏まえると6年程度と見込んでいる」と説明した。
佐世保校(佐世保市川下町123)は、8万8079平方bの敷地に11の施設が立地。このうち、建て替え対象となるのは本館・管理棟(1967年築)のほか、講義棟(69年築)、大学院棟(67年築)、学生会館(69年築)、武道館(68年築)の5棟。いずれも2〜4階建ての中低層棟で、これらを同じく中低層棟に改築する。
工事は、既存施設の機能を稼働しながら進めることが前提。このため、まず建て替えの初弾となる施設は、敷地内の別の場所に整備。そこに当該機能を移転後、旧施設を解体し、解体後の敷地に別施設を新設。新施設に機能移転後、既存施設を解体するといった手順を繰り返す「ローリング方式」での実施を計画している。このため、新年度にはまず、新施設建設予定地の測量や地質調査を委託する。施設の規模や具体的な工事手順などは、今後詰めていく。