大阪市が2013年度にまとめた、南海トラフ巨大地震対策での堤防の耐震・液状化対策計画について、全体事業費の概算見込みが当初計画時の約1100億円から約644億円へと縮減する見通しであることが分かった。市は「当初計画時は、簡易診断に基づく概算額。詳細照査により、当初は対策が必要と見込んでいた箇所で対策が不要になった」と説明。対策費を縮減しても安全性は下がっていないとしている。
市の堤防の耐震・液状化対策計画は、14年からのおおむね10年で対策を進める計画。前半(14〜18年)のおおむね5年で対策を完了する箇所と、後半(19〜23年)の計画スタート時からおおむね10年で対策を完了する箇所で構成する。
当初全体計画での延長は、港湾局管理分32・7`と建設局管理分13・9`の計46・6`だった。精査後は港湾局18・7`、建設局6・6`の計25・3`となる。
15年度末までの事業実施見込みは、港湾局0・5`、建設局0・4`の計0・9`。これまでに49億円の事業費を投入している。
16年度当初予算案には、堤防耐震対策に約71億4100万円を計上。港湾局で尻無川右岸水門上流や築港1・3丁目地区、天保山運河東岸、鶴町1丁目、安治川砂岩水門上流で工事を進める。また、建設局は住吉川(水門下流、敷津運河)や道頓堀川(水門〜汐見橋)で工事を行う。16年度施工延長は全体1・4`(港湾局0・8`、建設局0・6`)。
一方、堤防の耐震・液状化対策で同様に対策に取り組む、大阪府の同計画の全体概算事業費は約2100億円が見込まれる。府の担当者は「多少の上下はあるが、現時点で全体のボリュームが大きく変わることはない」と話している。
大阪市の元計画と精査後の全体対策延長、精査後事業費の表は建通新聞電子版に掲載中(港湾局と建設局の合算値)。
提供:建通新聞社