南海トラフ巨大地震で最大8500人が犠牲になると想定されている佐伯市は約10億5000万円をかけて市内中心部3ヵ所に津波避難タワー2基と人工高台1基を整備することを決めた。タワーの建設は県内初。28年度中に着工し、32年度までの完成を目指す。
市は、26年3月に国の南海トラフ地震特別措置法による「津波避難対策特別強化地域」に指定された。これを受けて、津波避難対策緊急事業計画を国に提出しており、3月中に国の同意を得た上で、新年度から5ヵ年計画で整備する考え。総事業費は約10億5000万円で、3分の2を国の補助でまかない、市の負担は約3億5000万円を見込んでいる。
市によると、旧市内中心部の人口は約2万1300人。地震発生から46分で葛港に1b級の津波が到達し、最大津波高は7・4bと想定されるが、池船、女島地区と長島町の一部住民は津波の到達までに高所への避難が間に合わないという。
タワー建設を計画しているのは池船地区と女島地区。池船地区では3ヵ所ある児童公園のいずれかに高さ6b以上のタワーを建設する方針で、今夏には場所を確定したいとしている。女島地区のタワーは高さ8b以上になる見込みで、具体的な建設場所は今後詰める。新年度当初予算案に池船地区の調査・測量費として約1000万円を盛り込んでいる。
人工高台は、長島町4丁目の老人ホーム跡地周辺に整備する。高さ6b以上で、中川、塩屋、新女島地区の2660人の避難場所にするという。
市防災危機管理課は「一刻も早い整備を進める。市民の防災知識の向上にも力を入れたい」と話している。
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大分建設新聞社