日本工業経済新聞社(群馬)
2016/02/26
【群馬】県内12市の2016年度予算案が出そろう
県内12市の新年度予算案が出そろった。12市合計の普通建設事業費は930億円となった。前年度からは3・8%、37億円減少した。前橋や富岡で大幅に増え、予算額は前橋、一般会計に占める割合は富岡が12市でトップとなった。反面、渋川や安中では前年度を大きく下回る編成になった。前年度から増やしたのは6市、減らしたのも6市で半々だった。
各市の普通建設事業費を見ていく。前橋市は前年度から16・6%増加させ、250億円を突破した。桃井小の校舎改築など小中学校の校舎・体育館の新増改築に47億円超を措置した。新規で市民文化会館天井の耐震改修などに10億円弱、前橋工科大学実験棟の改築に約1億7000万円、(仮称)第一コミュニティセンター建設にも約1億円を振り分けるなど、建築事業の充実ぶりがうかがえる。上武道路沿線に計画する道の駅設置に向けては約1600万円を計上、整備運営計画の策定に着手する。
高崎市も5・3%増やし、217億円余りを盛り込んだ。耐震補強工事が終了し、老朽化した学校施設の改築に力を入れる。中でも高南中校舎建設には7億5000万円超を計上した。新体育館など城南地区の体育施設利用者の利便性向上を図るため、城南運動場敷地内に立体駐車場も建設する。11億7000万円超を措置した。高崎文化芸術センター(仮称)やイオンなどの大型商業施設とつなぐ東西ペデストリアンデッキ整備も進めていく。
桐生市は9・2%減らしたものの40億円台を維持した。桐生武井西工業団地の造成が始まることを受けて、団地内を通る基幹道路整備費として約2億2000万円を充てる。中通り大橋線周辺や幸橋線、赤岩線、新桐生駅周辺整備といった従来事業も継続して実施する。水道事業会計では、(仮称)梅田浄水場本体工事費に総額67億円を超える継続費を設定した。新年度から5年かけて、新たな浄水場の建設を進めていく。
伊勢崎市は、耐震補強工事が完了したことにより3・2%減。100億円の大台を割り込んだが、約99億9900万円を確保した。新規で学校給食調理場の整備に取り組む。老朽化した3つの調理場を再編し、西小保方沼公園に新施設を建設する。新年度は実施設計に着手する予定で、約3000万円を計上した。境いよく保育所新園舎整備や(仮称)障害者センター改築など、前橋市と同様に建築事業が充実している。
太田市は、新市民会館建設や太田駅北口文化交流施設建設が一段落し、過去最大だった前年度から38・8%減少した。ただ、清水聖義市長は会見で「太田は変わったという印象を強めたい。再開発などを進め、気品があるまちづくりを行う」と太田駅周辺整備に触れ、民間と共に再開発を目指す考えを示した。北口での駐車場新設に向け、用地購入費などを計上。民間が進める南口地区市街地再開発にも11億4000万円超を補助する。
沼田市は11・3%伸ばし、19億5000万円超にまで増やした。目下の課題はグリーンベル21整備だろう。関連事業費約1億2400万円を計上し、商業施設棟の実施設計などを進める。また、保健福祉センターの大規模改修も新規事業化する。築20年以上が経過し老朽化していることから、屋根や外壁の修繕、エアコンの入れ替えなどを行う。利根町の3小学校を統合する新校舎建設にも着手、3億円弱を措置した。
館林市は10・0%増加し、27億7000万円超を確保した。土木関連では、西部1号線の約2億7000万円、東部環状線の約3億2000万円、中央通り線の約1億6000万円が目立つ。また、公営住宅のストック総合改善事業も進める。中層市営住宅へのエレベーター設置に向けて、設計費を約500万円計上。高齢者などの利便性向上を図り、今後1棟ずつ整備を実施していく。
渋川市は、小中学校の耐震化や北橘運動場整備などが一段落したことにより、46・7%の大幅減。新規では、総合公園陸上競技場の大規模改修に着手する。総事業費は約9億円を見込んでおり、新年度はスタンド改修に取り掛かる。JR八木原駅周辺整備も計画しており、道路の概略設計も進めていく。このほか、中学校武道場整備に約1億1000万円、伊香保地区の外環道路整備に約3000万円などを計上した。
藤岡市は9・1%増え、50億円の大台が見える規模にまで伸ばした。目玉となるのは新学校給食センターの建設で、15億円超の事業費を盛り込んだ。このうち、工事費は約13億7500万円を見込んでいる。老朽化した施設を移転新築するもので、9月初旬の入札を目指す。このほか、北部環状線街路事業に約5億3000万円、小野中学校大規模改修に約2億5000万円を投入する。
富岡市は新庁舎の建設が本格化する影響で86・8%と大幅増。一般会計に占める普通建設事業費の割合が24%となった。普通建設事業費の半分以上にあたる約29億円が新庁舎建設に充てられる。新規では、もみじ平陸上競技場の改修工事に約2億円を計上。走路やインフィールドの大規模改修を行う。また、都市計画道路・上町酢ノ瀬線の新設に向けて、測量調査設計にも取り掛かる。3400万円を盛り込んだ。
対照的に安中市は、前年度から半減する衝撃的な予算となった。耐震補強工事や峠の湯の整備、障害者支援センターまついだ新築などの大型事業が終了したためだが、50・5%減の約20億7000万円にまで落ち込んだ。
中学校に引き続き、新年度は小学校のエアコン設置に着手する。事業費に約2億5000万円を計上した。このほか、碓氷川クリーンセンターの補修・更新工事を3年かけて進めていく。
みどり市も学校体育館の安全対策が完了したことなどにより、15・0%減少し、20億円台を割り込んだ。(仮称)はねたき広場の整備に取り組み、新年度は造成や植栽、給排水設備工事などを実施する。学校施設整備関連では、大間々東小のトイレや笠懸小の外壁改修工事などを行う。林道は作原沢入線、松座線、柱戸線の3路線に約7300万円を配分した。