北海道建設新聞社
2016/02/24
【北海道】根室市がホタテ漁場造成へ−サケ・マス流し網漁禁止で
根室市は2016年度、根室湾南部地区でホタテ漁場造成に着手する。1月からロシア200カイリ内のサケ・マス流し網漁が禁止されたことを受け、沿岸資源を活用した安定的な生産体制を確立するのが目的。1万haの底質改善など、2カ年で総事業費5億6100万円を投じる。
同地区はロシア200カイリ内のサケ・マス流し網漁の一大拠点となっていて、湾内ではホタテの桁引き網・刺し網漁、ホヤやナマコ漁が営まれている。しかし、同カイリ内での漁禁止により、漁業生産や雇用、加工原魚の減少が懸念されている。
ホタテ漁は過去に漁場造成による増殖実績がある。近年は海外でホタテ需要が増大し、単価が上昇している。
市は、安定した生産体制を構築するための有望種として注目。ロシア200カイリ水域でのサケ・マス流し網漁禁止に関する緊急対策として国の補助を活用し、既存ホタテ漁場周辺の未利用海域で新たな漁場を造成することを決めた。15年度補正予算案に漁場調査費3000万円、16年度予算案に調査・造成費2億8528万9000円を計上した。
ホタテは、礫(れき)を中心としたバラス場と呼ばれる底質上に生息する。調査で生息に不向きな泥場の広がりや天敵であるヒトデの生息を確認。泥場を避けた漁場の配置を定めてヒトデを駆除した後、硫化物を低減するため耕運による底質改善を図る。
調査費は16年度に繰り越し、業務を発注する。海がしける冬になる前に、造成に取り掛かりたい考えだ。