日刊建設工業新聞
2016/02/24
【鳥取】県16年度入札制度を改正 最低制限価格引き上げ92%程度か
入札制度改正で県土整備部は、建設工事の最低制限価格を見直す方針を固めた。昨年10月から実施していた原価実態調査の結果を判断材料に、2016年度から現行の予定価格90%程度のラインから数ポイント引き上げる。建設業の雇用環境の改善や担い手の育成に必要な一定利潤を確保するほか、元下請け契約の適正化も図りたい考えだ。
引き上げとなれば10年8月以来、5年8カ月ぶり。昨年の9月県議会本会議で長谷川具章部長が、最低制限の見直しについて「実態調査をやって、分析したうえで考える」と答弁。その後、実態調査は昨年4月−10月に完成した予定価格2000万円−2億円(土木一般A・B級)の工事現場を対象に、最低制限価格付近で落札していた全体の1割程度、40件のサンプルを抽出。年明けにかけ、元請け業者に対し工事原価の実態を追跡調査していた。
調査結果を踏まえ、同部は「就労環境の改善や建設労働者の担い手確保・育成に必要な経費を上乗せるべき」(県土総務課)と判断した。
県の落札率は14年度が92・1%。15年度上半期にかけても同率で推移しており、直轄工事の14年度92・43%をやや下回り、全国平均よりも低い。
本紙の取材に同部は、具体的数値を明らかにしていないものの、見直し後は一般管理費を上乗せし予定価格の92%程度を最低制限価格とする見通し。このため落札率は数ポイントの上昇につながる。算定式は非公表。
また、土木工事2億円以上の低入札価格調査制度では、調査基準価格(予定価格の88%程度)の下に設ける失格基準(同80〜85%)についても引き上げる。改正品確法にのっとり適正利潤の確保に結び付け、トンネルなど大型工事のJV構成員になる地元企業や下請けに入る県内企業にしわ寄せが行かないよう配慮する。
これら制度改正について、同部は開会した2月県議会に詳しく中身を説明。3月上旬の県建設工事等入札契約審議会に諮問し、合意を得たうえで4月から適用する。