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建設経済新聞社
2016/02/22

【京都】林業「森世紀」に向け17億円 川上〜川下対策で新規事業化

 京都府農林水産部は、28年度の「森の京都」ターゲットイヤーを契機に、公共施設等での府内産木材の需要拡大やCLT(直交集成板)加工施設の整備に向けた準備などの取り組みに注力する。
 28年度当初予算案・27年度補正予算案に林業「森世紀」創造戦略事業費として合計17億2907万6000円を新規計上。一部財源には28年4月導入の「豊かな森を育てる府民税」を活用する。
 川上対策では木材生産パイオニア事業(5億1881万5000円)に着手する。
 間伐材生産強化事業費に3億4981万5000円を充て、効率的な間伐実施と間伐材出材に向けた路網整備、集積等に対する支援などを行う。
 林業クラスター創造事業費には100万円を充当。丹波広域基幹林道の沿線エリアを中心に木材を集中搬出する。
 森林の整備・保全に1億6800万円を充当し、▽未来へつなぐ安心・安全の森づくり事業(流木発生の恐れがある危険木の伐採等)▽健やかな森林づくり事業(花粉の少ないスギ、広葉樹の植栽支援)▽府民参加型里山ふれあい事業(荒廃した里山整備を府民公募で実施)▽伝統工芸の森プロジェクト事業(漆等の生産拠点「伝統工芸の森」造成等)を実施する。
 川中対策では府内完結型木材産業構築事業(6億3834万6000円)に着手する。
 CLT加工施設推進費に400万円を充当。CLT加工施設の整備に向けた準備として製造技術者育成や事業化に向けたアドバイザー派遣への支援を行う。また木材の需要拡大を図る「府内産木材販売促進会議(仮称)」を開催する。
 木材加工施設等整備強化事業費には5億9604万6000円を充て、合板加工施設や木材チップ供給施設等の整備を支援する。
 木材需給調整機能強化促進事業費に3830万円を充て、需給のミスマッチを解消し、急な注文にも速やかに対応できる原木ストックの仕組みを構築。ストック確保のための資金造成やストックヤードの整備を支援する。
 川下対策では府内産木材需要拡大事業(2億6491万5000円)に着手する。
 環境にやさしいウッドマイレージ認証木材推進事業に5000万円を充当。ウッドマイレージCO2認証木材を一定量以上使用した住宅、店舗、事務所等の建築(新築及び増改築)に対し緑の交付金を交付する。多子世帯や伝統産業木材を対象に単価等を引き上げる。
 木造公共施設等整備事業費に8541万5000円を充当。府内産木材を使用した木材公共施設等の整備を支援する。
 森林資源の循環利用・木の文化発信には1億2950万円を充て、▽公募型木のまちづくり推進事業(民間施設での木材利用のモデル的取り組みを支援)▽府民利用施設等木質化事業(庁舎等の木造化・木質化)▽京の森と木魅力発信事業(林業や木の文化を発信するためのマップ作成等)▽木材6次産業化事業(新たな「木の文化」の魅力をPRする木製品開発支援)を実施する。
 豊かな森を育てる府民税市町村交付金には3億0700万円を充当。市町村が地域の実情に応じた事業を進める。
 第40回全国育樹祭を「森の京都博」の中核イベントとして10月8日・9日に開催。京都の森の文化を府内外に発信する。事業費は3億2900万円を計上した。
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 28年度に建替えに着手する茶業研究所(宇治市白川)は府内産木材を利用し、新本館はCLTを取り入れた木造建築とする。
 林業・木材産業の成長産業化を目指し、京都府内に高性能な木材加工施設を新しく立地する取り組みも進む。
 京都府内の林業・木材関係企業等22事業体で構成する「新たな木材加工施設立地促進会議」が27年8月に発足。同年12月に同会議は「成長型林業構想」の実現に向けた新たな木材加工施設の立地について方策・取り組みスキームをまとめ、山田啓二京都府知事に報告、知事に@立地補助金の特例措置(施設整備に係る支援)A原木供給体制の強化B府内産木材の積極的な利用C国庫補助金の獲得D市町村への協力の働きかけの5項目を要望した。
 新たな木材加工施設の立地の方策・取り組みスキームによると、28年度はCLT製造施設立地に向けたプロジェクトチームで課題の洗い出しと対策の検討、立地場所の検討、市場調査、需要の掘り起こし、収支試算、製造機械の検討を進める。