日本工業経済新聞社(山梨)
2016/02/19
【山梨】県営団地傾斜対策、グラウト工法望ましい
傾斜が確認されている県営住宅熊井戸団地1号館(都留市)の対策専門委員会が17日に開催され、改修工法としてグラウト注入工法が望ましいとの方向性を示した。
グラウト注入工法では、基礎下の地盤を強化・膨張させることで建物全体を水平に改修する。地盤を強制的に圧密することで基礎下の地盤が圧縮され、地耐力が発現できる。同工法を採用した場合、コストは1億円程度、工期は5カ月程度が予想されるとした。
委員会では今後、グラウト注入工法を中心に検討を加え、3月下旬に意見書を県へ提出する予定。意見書を踏まえ県では、具体的な改修工法や時期、費用などを検討し、対策を行う。
熊井戸団地1号館(RC造5階建て30戸。1987年8月完成)の傾きについて、対策専門委員会は原因を検証。
地質調査の結果、上層部の地層の一部にある柔らかい層が経年により圧縮され圧密沈下し、建設後の地震などで地盤が震動し、下層部のゆるいシルト・砂礫層を中心に沈下が進行したことによる、いわゆる不同沈下が原因と判断されるとした。
建物の安全性については、耐震性能評価の結果、構造上有害なひび割れはなく、コンクリート強度試験や中性化深さ試験の結果、安全な構造と判断。
傾斜については、現状でも大規模地震時に倒壊するおそれは無いが、安全性や居住性を向上させ、構造劣化を進行させないよう傾斜を修正することが望まれるとした。
改修工法については、@グラウト注入工法Aグラウト注入工法+地盤増強B圧入鋼管+深礎杭C住戸内床改修―を検討。そのうち、地盤の状況や入居者の生活環境、費用などを勘案するとグラウト注入工法が望ましいとした。