国土交通省近畿地方整備局は、関西地質調査業協会(荒木繁幸理事長)と建設コンサルタンツ協会近畿支部(兼塚卓也支部長)とともに、より効果的な地質リスクの調査・解析方法について、検討を始めた。ことし1月にワーキンググループを立ち上げ、方向性や役割分担を確認。今後も必要に応じて開催していく考えだ。
同局では以前から、地形・地質(地質リスク)の調査・解析不足により、建設事業費や維持管理費が増大することを懸念。2月15日に行われた関西地質調査業協会との意見交換で、地質調査の重要性について認識を共有するとともに、検討を始めたことを明かした。
意見交換では、協会側が、事業開始段階(計画段階)に、地質リスクを抽出する必要性を説明した上で、▽地質に関するリスク抽出業務をプロポーザルなど技術点の高い総合評価方式で発注する▽事業開始段階に、発注者、設計者、地質調査業者の3者協議の場を設け、リスク共有を図る▽整備局の発注担当者、若手職員向けの技術講習会を行う―ことを要望した。
近畿地整の担当者は、「必要性は言うまでもない。適切な発注方法や業務内容については今後、ワーキンググループなどを通じて、実務レベルで検討していく」と前向きな姿勢を示した。
地質リスクについて、同協会は、「社会資本整備に際して『事業費の増大』『工期の延長』などに直接的な影響を与える地質的な問題の存在と、それが認識されていないことだ」と説明する。併せて、「日本には、地理的特性から地盤を含め多くの地質リスクがある。調査の精度を高め、より密に行うことが事業費の削減、工期短縮につながる」と訴えた。
意見交換ではこのほか、土木コンサルタント業務と地質調査業務の分離発注、地元企業の受注機会拡大などを求めた。
提供:建通新聞社