香川県は4710億余円に上る2016年度一般会計当初予算案を2月19日開会予定の定例県議会に提案する。会期は3月22日までの33日間。一般会計当初予算案は前年度当初比2・3%増の3年連続の伸び。主に県立高校再編整備推進事業や香東川総合開発事業(椛川ダム)など、16年度に建設工事がピークを迎える事業費の伸びなどが影響した。
当初予算案は昨年12月に策定した「新・せとうち田園都市創造計画」を踏まえて「成長する香川」、「信頼・安心の香川」、「笑顔で暮らせる香川」の三つの基本方針に人口減少・活力向上対策の総合的な推進や、地域経済の活性化に重きを置いた。特に1月20日に成立した国の補正予算と一体となり、地域経済の活性化に取り組む。県は2月一般会計補正予算案として50億4729万1000円を県議会に提案する。15年度補正予算案と16年度当初予算案を加えた実質予算規模は4760億円となり、14年度補正予算と15年度当初予算を加えた4647億円に比べても113億円の著しい伸びを示す。
16年度当初予算案では投資的経費を重点化。17年4月の開校に向け小豆島中央高校(仮称)建設地の造成工事と校舎等の建築のほか、観音寺総合高校(仮称)の用地取得や造成工事などを含む県立高校再編整備推進事業の増額等により、当初予算での投資的経費は695億1300万円となり、前年度当初(612億0800万円)に比べ、83億0500万円の伸びと3年連続で増加。このほか、投資的経費の伸びに影響したのは、香東川総合開発事業(椛川ダム)が前年度比14億円増、地震・津波対策海岸堤防等整備事業で、同7億円増、老朽校舎等改築事業で同6億円増。
ピーク時(1996年度、1710億円)の約4割の水準であるものの、財政運営指針で見込む693億円とはほぼ横ばい。厳しい予算背景下で重点配分した。
投資的経費の内訳は補助事業が293億9500万円で前年度当初比4・4%増。単独事業は342億2700万円で同25%増。災害復旧事業は58億9100万円で同3・6%増。
当初予算案のうち新規重点施策は、交通安全施設等の整備を盛る「交通死亡事故抑止総合対策事業」に14億2300万円を計上した。効果的な安全教育だけでなく、急ブレーキ多発地点データを活用した危険個所対策なども進める。
「民間住宅耐震対策支援事業」では、耐震シェルター、耐震ベッドも対象に耐震改修補助。戸建て住宅などの借家も対象にした支援を行う。予算額は6500万円。
産業基盤の充実で「航空ネットワークの充実強化対策等事業」に3億3800万円を計上。空港連絡道路の整備では8億7900万円を盛り込み、これに15年度補正予算案の8億1700万円も投入し、部分立体交差や暫定4車線(中間工区)のほか線形改良(香南工区)の整備を推進する。
高松港国際物流ターミナル整備には2億6600万円を計上し、物流・震災対応機能を強化し耐震強化岸壁(マイナス12b)240bの整備を推進する。
移住・定住の促進では移住者の借り上げ賃貸物件の家賃や礼金等を支援するため6300万円を計上したほか、市町が整備する移住定住用住宅に補助するための「移住定住用市町営住宅整備支援事業」に1200万円を計上した。
このほか、南海トラフ巨大地震に着実に備えるため、県営ため池耐震化整備事業に10億4300万円を計上。貯水量10万d以上の大規模ため池を対象に、15カ所で耐震補強工事を進める。また、地震・津波対策海岸堤防等整備事業に38億1300万円を計上。南海トラフ地震の被害想定を踏まえた堤防の嵩上げ・液状化対策を優先度の高い箇所から順次実施する。16年度は海岸で11港湾と1海岸、河川8河川を予定している。
このほか、全国初の県内1水道の推進となる県内水道広域化推進事業に6500万円を計上。18年度からの広域水道事業体(企業団)による事業開始を目指し、認可申請書の作成やシステム統合に取り組む。
提供:建通新聞社