建通新聞社(中部)
2016/02/10
【愛知】春日井市高蔵寺再生 主要プロジェクトと施策
【愛知】春日井市は、策定した高蔵寺リ・ニュータウン計画の基本理念の実現を目指して、2016年度からの10年間で、「先導的主要プロジェクト」と「課題に応じた主要な施策」を進めていく。各施策は短期・中期・長期計画として工程表を作成している。
計画では、センター地区を都市核とし、商業・公共サービス・交通の機能を集約する。JR高蔵寺駅周辺とセンター地区の間を「都市軸」とし緊密な交通で結ぶ。東西サブ核とセンター地区を域内ネットワークで結ぶ。高森台地区をスマートウェルネスエリアとする。ニュータウン周辺と「連携軸」を通して広域的サービスを提供する。
計画推進のためにまちづくり会社を設立し、高蔵寺ニュータウンのエリアマネジメントを担っていく。また、高蔵寺リ・ニュータウン推進協議会と同地区協議会が情報共有・合意形成を推進していく。計画の評価と検証は同推進会議を設置して行っていく。
「先導的主要プロジェクト」は、複数の施策をまとめて一体で実施するプロジェクト型の取り組み。「課題に応じた主要な施策」は、ニュータウンの課題に対応するため推進する主要な施策を掲げている。
「先導的な主要なプロジェクト」は2年以内に着手する「先行プロジェクト」、先行プロジェクトの効果を検証して展開を図る「展開プロジェクト」、プロジェクトと施策の実施状況を発信する「情報発信プロジェクト」から成る。
「先行プロジェクト」では、▽旧藤山台東小学校施設を活用した多世代交流拠点の整備▽民間活力を導入したJR高蔵寺駅周辺の再整備―を推進する。
「旧藤山台東小学校施設を活用した多世代交流拠点の整備」はセンター地区と連携し、藤山台中学校や高蔵寺高校と一体化した「まなびと交流のセンター」の整備。校舎を図書室・児童館・地域包括支援センター・カフェなどに整備する。周辺の歩道を拡幅する。15〜16年度に設計、17年度に工事、18年度に施設開所を予定している。
東部市民センターは図書室を縮小し、行政機能や公民館機能を維持して、地域住民の生活支援や生涯学習活動支援の施設とする。集会室・音楽スタジオを拡充する。17年度に設計、18年度に3階部分の工事、19年度に施設開所を予定している。
老朽化した藤山台保育園は藤山台小学校東側の烏洞公園敷地に移転する。藤山台調理場跡地を暫定駐車場や公園代替地として整備する。藤山台保育園跡地はUR都市機構に返還を予定している。
「民間活力を導入したJR高蔵寺駅周辺の再整備」は、北口周辺の再編整備、南口周辺と地下道空間の改善で、駅南北の一体感の向上を図る。
北口は駅前広場を改善し、交流空間を創出。商業や小規模保育所などのサービス機能を検討するとともに、駐輪場を更新する。南口は待車場の改善と駐輪場の更新を行う。地下道空間は空間の高質化・バリアフリー化を行う。
先行プロジェクトの効果を検証して進める「展開プロジェクト」には、▽交通拠点をつなぐ快適移動ネットワークの構築▽センター地区の商業空間の魅力向上と公共サービスの充実▽スマートウェルネスを目指した団地再生の推進―を挙げている。
「交通拠点をつなぐ快適移動ネットワークの構築」では、東西2カ所(一例として西藤山台小学校とナフコ石尾台店周辺)にサブ拠点を配置し、交通広場を設けネットワークを構築する。
サブ拠点の周辺には商業・サービス機能を集積する。西藤山台小学校が余剰施設となるため、西のサブ拠点として有効活用を検討している。民間活力を導入し、まちづくりに寄与する場合は民間への売却なども視野に入れている。施設の機能・用途は▽身近な商業・飲食▽子育て支援・学習▽高齢者向け居住・福祉▽在宅での医療・看護・リハビリ▽近隣住民の交通利便向上―などの生活便利施設を調査・検討している。
「センター地区の商業空間の魅力向上と公共サービスの充実」では、駐車場・送迎スペース・駐輪場を整備し、バスターミナルにプラットフォームを設置する。センター地区の低利用地に商業・サービス機能を集積し歩道ネットワークで回遊性を高めるとともに、トランジットモールを検討する。東部市民センターは機能充実を図る。高森台地区のスマートウェルネスと藤山台地区の「まなびと交流のセンター」を立体横断施設などで結び、歩道ネットワークを拡張する。
「スマートウェルネスを目指した団地再生の推進」では、都市再生機構賃貸住宅と県有地に医療・福祉施設を誘導し、高森山周辺を拠点としてスポーツ・健康づくり機能を充実させる。
プロジェクトと施策の実施状況を発信する「情報発信プロジェクト」では、「ニュータウン・プロモーション」と「ニュータウンまるごとミュージアム」を展開する。
「ニュータウン・プロモーション」は、まちのCI作成、多様な情報提供手段の活用、コミュニティイベント実施、ホームページ作成、情報センター設置を行う。
「ニュータウンまるごとミュージアム」は、「住まいづくりの先進地」のイメージを確立し、他地域のモデルとして成果を発信する。
「課題に応じた主要な施策」では、▽住宅・土地の流通促進と良好な環境の保全・創造▽身近な買い物環境の整備と多様な移動手段の確保▽多世代の共生・交流と子育て・医療・福祉の安心の向上▽既存資産の有効活用による多様な活動の促進▽高蔵寺ニュータウンを超えた広域的なまちづくりの推進―の五つの施策分野を設定した。
「住宅・土地の流通促進と良好な環境の保全・創造」は、最低敷地面積を見直し、地区計画で住環境の保全を図る。リノベーション提案付き中古物件情報を提供し流通を図る。新しいデザインや間取りを評価し価値に反映する。
「身近な買い物環境の整備と多様な移動手段の確保」は、幹線道路の沿線を中心に用途地域見直しを検討する。公園・空き地に移動販売車の停車スペースを確保する。坂道を克服するための多様な交通手段を確保する。
「多世代の共生・交流と子育て・医療・福祉の安心の向上」は、ニーズに合った住宅の供給、世帯の変化に応じた円滑な住み替えを促進する。旧小学校施設を活用した交流拠点を整備し、空き家を活用した身近な交流の場を形成する。デイサービスなど身近な介護施設の立地に空き家を活用する。
「既存資産の有効活用による多様な活動の促進」は、集合住宅上階の空き家を事務所・倉庫・共同スペースなどにリノベーションする。空き家・空き地を市民協働、コミュニティビジネス、シニアベンチャーの空間に転用する。広幅員の幹線道路の沿道空間の活用や道路空間の再配分と利活用で、交通改善とまちの活性化を図る。公園のリノベーションで利用を推進する。高森山周辺を健康づくりの場の拠点として整備する。
「高蔵寺ニュータウンを超えた広域的なまちづくりの推進」は、周辺地区に寄与する施設を整備し、サービス供給拠点とする。魅力的な住宅地の集積エリアとしての認知を高める。愛知環状鉄道沿線の企業従業員の住宅供給サービスを推進する。
提供:建通新聞社