日本工業経済新聞社(茨城)
2016/02/05
【茨城】一時保管市町長会議で環境省が指定廃棄物の現地保管継続を決定
第2回の県指定廃棄物一時保管市町長会議が4日、水戸プラザホテルで開催され、環境省は、現在県内14市町村15カ所で一時保管している指定廃棄物などについて、8000ベクレル超のものは「現地での保管を継続する」方針を示した。自然減衰で8000ベクレル以下となったものは、指定解除の仕組みなどを活用しながら、段階的に既存の処分場などで処理。8000ベクレル以下となるのに長期間を有する比較的濃度の高いものについては、1カ所集約とし、引き続き協力を依頼していく。
会議の冒頭、環境省の井上信治環境副大臣、白石徹環境大臣政務官、橋本昌県知事がそれぞれあいさつ。
続いて、環境省の鎌形浩史廃棄物・リサイクル対策部長が「茨城県における指定廃棄物の安全・安心な処理方法」について説明。「保管状況が逼迫している県においては、災害などに備えた長期にわたる管理を確実なものにするため、各県内1カ所に集約し管理することが望ましい」としながらも、茨城県においては、現地保管継続の考えが多かったことから、今回現地保管継続に係る課題に対する環境省の考え方を明示した。
現地保管を継続する場合は、8000ベクレルを超える指定廃棄物に対して、災害対応や住民のさらなる安心を目的とした保管強化、遮蔽の徹底を必要に応じて行うとし、ボックスカルバートの設置、コンクリートボックスなどへの入れ替え、コンクリート構造の堅固な既存施設への移送などの具体例を示した。
これら保管強化や遮蔽徹底を行う場合には、指定廃棄物一時保管委託契約などの予算(15年度予算額=26億4100万円)を活用して、国が費用を負担する。
放射能の減衰により指定廃棄物が8000ベクレル以下となった場合は、国と一時保管者や解除後の処理責任者で協議を行ったのちに、環境大臣が指定を解除することができる。指定解除後は、廃棄物処理法の処理基準などに基づき、一般廃棄物は市町村、産業廃棄物は排出事業者の処理責任の下で必要な保管・処分を行うとした。
地元住民に対しては、住民説明会において、保管に係る安全性などについて説明する。地域振興・風評被害対策としては、長期管理施設の設置を前提に対策予算(5県合計50億円)を確保しており、地元と相談しながら詰めていく。また8000ベクレルを下回ったものについて、通常の廃棄物として既存の処分場で引き受ける場合にも支援できるよう今後検討していく。
その後、各市町長からの意見を整理した上で「茨城県においては、現状のまま保管を継続し、減衰後は通常の廃棄物として処理する。保管継続の際には、保管強化を行い、災害対応や住民尾不安の解消に努める」と方針を示した上で、濃度の高い指定廃棄物については「1カ所集約が望ましいので、引き続き協力をお願いしていく」と話した。
また各市町長から要請のあった指定解除後の費用負担については「国の費用負担を実現させるようにしていく」とした。風評被害・地域振興対策の具体化については、引き続き前向きな検討を進めていく。
今後の具体的なスケジュールに関しては「保管強化など、個々に相談しながら決めていかなければならない問題。相談を速やかに始めたい」などと話した。
橋本県知事は、現地保管継続が決定したことについて「各市町長さんが安全確保について、現実的な判断をされた結果。妥当な結論だと思う。いつ災害が起こるかもわからないので、できる限り早く対応していくことが必要。環境省の方々にも積極的に現地に入っていただいて、対応策を講じてもらえれば」としたが、事故後5年弱が経過したことについては「少し経ち過ぎたかな。もっと早く対策を講じるべきだった」と述べた。
井上環境副大臣は「最終的に国の方針を決めることができたのは大きなこと。福島県に続いて、茨城県で指定廃棄物問題の基本的な方針が了承されたのは大変ありがたい。ほかの県についても解決策を見出していくことが非常に重要だと思っている。茨城県においてもこれから指定解除や保管強化、処分先確保など大変だ思う。国もさまざまな技術的、財政的支援を責任を持って行う。ご協力をいただきながら進めて行きたい」と話した。