秋田県は8日、平成28年度当初予算案の概要を県議会に内示した。一般会計総額は6,005億2,500万円で、27年度当初予算比で9億500万円・0.2%の減となった。防災・減災、インフラ長寿命化に重点を置いた公共事業費は735億7,100万円で、前年度(731億3,200万円)に比べ0.6%の微増。建設工事では水産振興センターの施設整備費11億2,881万9,000円や、県北地区広域汚泥処理事業の建設工事費45億円(債務負担)などを盛り込んだ。
県は今回の予算案で、昨年10月に策定した「あきた未来総合戦略の推進」と、「県民の生活を支える基盤づくりの着実な推進」という2つの柱を立てた。
未来総合戦略関連には特別会計も含めて約366億8,000万円(前年度比28億5,000万円増)を充て、◇産業振興による仕事づくり ◇移住・定住対策 ◇少子化対策 ◇新たな地域社会の形成―という4つの基本目標を掲げている。
今後は航空機産業の設備投資に対する助成や、東アジアを中心とした観光プロモーションなど、国の地方創生加速化交付金を活用した事業の関連予算を2月補正予算に追加提案する予定で、追加後は前年度比約40億円の増となる見通し。
戦略の推進を形づくる4つの基本目標のうち、「産業振興による仕事づくり」の新規事業では、新エネルギー関連で風車メンテナンスの人材育成プログラム策定や、地熱エネルギーの利用促進支援などを盛り込んだほか、企業の経営基盤強化で本社機能等移転促進補助金などを計上。
農林水産業では園芸品目のさらなる生産拡大を見据え、複数団地のネットワーク化を図る「ネットワーク型園芸拠点育成事業」を推進。継続事業では水産振興センター栽培漁業施設整備事業費として、ろ過設備や親魚棟の整備費11億2,881万9,000円を計上している。
文化・スポーツ関連では県・市連携の新たな文化施設建設で、整備計画策定や現況測量などに係る費用を計上したほか、新規事業として、男子プロバスケットボール新リーグ(Bリーグ)1部参入のホームアリーナ要件を果たすため、秋田ノーザンハピネッツに仮設席整備などの支援を行う。交通ネットワーク関連では奥羽・羽越新幹線の整備促進に向けた勉強会の開催費用などを計上した。
2つ目の基本目標となる「移住・定住対策」では、動物愛護センター(仮称)の基本・実施設計などを行う。「少子化対策」では住宅リフォーム推進事業で、子育て世帯特別枠を創設する。
「新たな地域社会の形成」では、あきた未来づくり交付金事業で大仙市、横手市、八峰町など11市町10プロジェクトを推進する。米代川流域下水道の大館処理センターに建設する県北広域汚泥処理施設では、建設工事費45億円と、維持管理(20年)費40億円(いずれも予定)の債務負担行為を提案。建設工事は29から31年度の事業期間で進められる。
当初予算案で2つ目の大きな柱となる「県民の生活を支える基盤づくり」では、元気な長寿社会の実現に向け、県立脳血管研究センターの病棟、手術室、救急処置室等の増設費を計上。新規事業では厚生連病院長寿命化改修支援として、能代厚生医療センターや由利組合総合病院の改修費用助成費などを盛り込んでいる。
未来を担う人づくりの推進に向けては、新規で比内支援学校(比内養護学校)の改築に向けた基本設計や地質調査費用を計上。防災・交通安全対策では土砂災害防止法基礎調査に6億9,300万円を盛り込んだほか、交通信号機整備事業などを継続する。環境・自然保護では西部承水路の水質改善に向けた新たな湖内浄化対策の検討・実証などを行う。
公共事業費は当初予算ベースで735億7,100万円となり、前年度(731億3,200万円)とほぼ同等。国の補正予算に対応した先の1月補正分を含めた実質事業額ベースでは857億3,900万円で、前年度比13.2%の増となる。
公共事業の主なものには大館能代空港西線・鷹巣西道路整備や河川改修事業(三種川、斉内川、下内川ほか24カ所)、地方街路交付金事業(千秋広面線、久保田古館線ほか3カ所)、経営体育成基盤整備事業(中仙中央地区ほか51地区)などを盛り込んでいる。
なお、普通建設事業費は917億4,717万3,000円で、前年度比14億2,858万1,000円、率にして1.5%の減。このうち補助事業費は466億3,462万4,000円で前年度比3.8%の減、単独事業費は368億9,090万円で同1.8%の増となった。
提供:秋田建設工業新聞社